石井克美のデジタル家電ナビ

<石井克美のデジタル家電ナビ>21.ゲームにおけるサラウンド事情

2005/09/05 16:51

週刊BCN 2005年09月05日vol.1103掲載

 プレイステーション2(PS2)の登場以来、ゲームのパッケージ裏に「ドルビー」のロゴを見かけることが多くなった。映像が3Dに進化していけば、音声出力も立体的3Dになる、というのは当然の展開だろう。アメリカではタイトル数もそうだが、サラウンドシステム自体も相当数が普及している。しかし、日本では住宅事情などの問題もあり、スピーカーシステムの導入が難しいケースも多く、その普及はいまだ過渡期である。

 実際にサラウンドを体験すると、その表現力の豊かさから非サラウンド環境からは戻れない。昨年の東京ゲームショウで行われたデモでは十二分にその魅力が紹介されていた。加えて、次世代機ではサラウンド環境が当たり前になるため、日本のゲームメーカーも積極的にサポートしていくことが予想される。

 むろん現行機でもサラウンド再生によるプレイは可能である。PS2では「ドルビープロロジックII」を採用。5.1chサウンドを2チャンネルステレオにエンコードして、サラウンドシステム側で改めて5.1ch再生するマトリックス(合成)方式のサラウンドだ。そのため、赤白ケーブル接続でも再生が可能で、光ケーブル接続を使えばDVD再生時同様、ドルビーデジタルやDTSサラウンドにも対応する。

 一方、Xboxはハードウェアのドルビーデジタルエンコーダを内蔵しているので、ディスクリート(独立)サラウンドによる明瞭な音の定位を感じることができる(ただし、拡張AVパックもしくはコンポーネントAVパックが別途必要)。

 ゲームキューブは光出力端子を持たないため、ドルビーデジタルには非対応だが、ゲームソフト側でドルビープロロジックIIインタラクティブエンコーディングによりサラウンドサウンドを可能にしている…といった具合だ。搭載されている機能を眠らせておくのは実にもったいない話である。

 スピーカーの置き場所が問題になるのならば、サラウンド対応ヘッドフォンを利用するのも1つの選択肢。ドルビーでもそのソリューションの1つとして、ドルビーヘッドフォンを推奨している。海外で発売されているトラストマスター製のドルビーヘッドフォンシステム「T510」がそれだ。ドルビーデジタル&プロロジックIIデコーダ機能を搭載し、どのゲームマシンでも接続可能。しかも小型で持ち運びも楽々。電池駆動も可能で、北米での価格は日本円で約2万円。なお、現在ドルビーヘッドフォンは携帯機向けタイトルなどでも実装できるよう、研究が続けられているという。
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