秋葉原物語

<秋葉原物語>[第4部 イノベーション]40.今秋、ヨドバシがオープン

2005/08/15 16:51

週刊BCN 2005年08月15日vol.1101掲載

 JR秋葉原駅前の都市再開発のなかで、電気街の家電量販店やパソコン専門店の関係者の関心事は、ヨドバシカメラの出店だ。ヨドバシカメラは今年9月をめどに「マルチメディアAKIBA」をオープンさせる予定になっている。

 マルチメディアAKIBAは、JR秋葉原駅前の東側に店を構え、電気街口からでも昭和通り口からでも訪れることが可能だが、電気街とは反対側に位置することになる。しかも、8月24日開業の「つくばエクスプレス」の改札口に直結する連絡通路も確保することになっている。

 売り場面積や建物構成など具体的なことについては明らかにしていないものの、ヨドバシカメラにとっては大型店に位置付けられる。中小型店が多い電気街のなかでは、もちろん最大級の店舗になるといえよう。しかも、大規模な駐車場も用意する予定だ。秋葉原地区に足を運ぶ買物客にとって、駐車場が併設されるということは、電車だけでなく車でも訪れることが可能になるという点で一段と利便性が高まる。これまで駐車場が少ないという理由から、持ち帰りできない家電製品は秋葉原で買うのを避けていたユーザーが、そうした商品を購入することにもつながる。

 秋葉原電気街への巨艦店進出とあって、ショップの間では、「電気街からヨドバシカメラに客の流れが変わる」、「売り場面積が広く、大規模な駐車場を完備していることは、電気街にとってかなりの痛手になる」など危機感を隠していない。

 ヨドバシカメラが秋葉原電気街の中心部から離れていることで、デジタルカメラをはじめ、冷蔵庫やエアコンなどの白物家電から液晶テレビやDVDレコーダーといったデジタル家電、パソコンを含めた情報関連機器など多様な品揃えを持つヨドバシカメラでユーザーの商品購入が完結する可能性が高いというのが理由だ。

 その一方で、「ヨドバシカメラの秋葉原進出は歓迎すべきこと」と前向きに捉えているパソコン専門店や組立パソコン用パーツ専門店もある。郊外に量販店が次々と出店していることで、秋葉原の集客力は弱まっていた。ヨドバシカメラによって再び秋葉原が活性化すれば、「家電量販店にはないパソコン関連機器やパーツなどを扱い、しかも専門的な知識を持つスタッフの接客で差別化が図れる」とてぐすねを引いているショップも多い。ヨドバシカメラの出店が、電気街にメリットを及ぼすかどうか、各ショップの腕の見せ所だ。(佐相彰彦)
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