石井克美のデジタル家電ナビ
<石井克美のデジタル家電ナビ>15.迫力ある音響再生(2)
2005/07/18 16:51
週刊BCN 2005年07月18日vol.1097掲載
DTS-ESはやや動作が異なり、DTS-ESマトリックスではドルビーデジタルEXと同様の仕組みで動作するが、DTS-ESディスクリートの場合はエクステンションフレームを用いることで、独立した1チャンネルが通常のDTSに追加される。
DTSは周波数帯域を分割し、それぞれの帯域ごとに圧縮後のフレームが作られる。このフレームを順に並べたのがDTS信号だが、基本のDTS信号(コアという)に加えて、拡張(エクステンション)フレームを追加できる。DTSデコーダは必ずコアの再生が可能なため、エクステンションで1チャンネルを追加したとしても、コア部分だけは再生できる下方互換性が実現できるわけだ。
では、現在話題に上っている次世代光ディスクで使われる音声フォーマットはどのようなものがあるだろうか。
既発情報によると、HD DVDではPCMサラウンドのほか、ドルビーデジタルプラスとMLPが採用される見込みで、DTSに関してもDTS HDがオプションフォーマットに指定されている。
このうちMLPはDVDオーディオで使われているフォーマットで、ロスレス圧縮、つまりデコードするとリニアPCMと同じ信号となる方式で圧縮する方式だ。ドルビーデジタルプラスはAC-3よりも効率の高い音声圧縮方式を採用し、高ビットレートでサポートできるほか、より多くのチャンネル数が実現可能。また、オプションフォーマットのDTS HDはDTSのコアフレームにエクステンションを付加し、MLP同様、ロスレス音声を実現するフォーマット。DTSコアを基礎にしているため、従来のDTSデコーダでも再生可能。しかもDTS HDに含まれるコアフレームは1.5Mbpsのフルレートなので、DTS HD対応デコーダを持たない場合でも、既存のDTS対応ソフトよりもずっと音質が向上する。
なお、次世代光ディスク向けフォーマットは、いずれもHDMI端子もしくはiLINK経由で周辺機器と伝送する(機器同士の認証を取り合って暗号化する仕組みのため)。以前、フラットパネルテレビの項でHDMI端子に触れたのも、将来の拡張を見込んでのことだ。
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