店頭流通

エーオープン パソコン完成品市場に参入 高付加価値製品で利益率アップへ

2005/07/04 18:45

週刊BCN 2005年07月04日vol.1095掲載

 マザーボードなど組立パソコン用パーツメーカーのエーオープンジャパン(葉一徳社長)は、高付加価値製品で利益率を高めていく方向に戦略転換する。第1弾として、今年10月に同社初の試みとなる超小型デスクトップパソコン「MiniPC」を発売。同製品で17%以上の粗利率を確保する方針だ。パーツ市場は、多くの企業の参入で低価格化競争が一段とエスカレートしており、利益率の低下が著しい。同社ではパーツから完成品へと事業の軸足を移すことで、利益の確保につなげていく。

10月に「MiniPC」を投入 粗利率17%以上狙う

 今年10月に発売するMiniPCは、液晶ディスプレーなどを付属しない本体のみの製品で、OSにマイクロソフトの「ウィンドウズXP」が搭載可能。CPUにインテルの「セレロン」を採用した機種と「ペンティアムM」を採用した機種の2種類を予定している。色はシルバーやレッドなど6色を用意。発売後1年間で販売台数2万台弱を見込む。

 価格はオープンだが、セレロンモデルが6万5000円、ペンティアムMモデルが8万5000円をめどに販売。ホワイトボックスなどに比べ高めの設定となっている。「低価格であれば売れるというわけではない。製品の良さを理解してもらえれば手頃な価格と顧客に認識してもらえるはず」(葉社長)と見ている。

 対象顧客はパソコン上級者。パソコンショップやパーツショップなど専門店での販売を中心とする。最近はショップが自社ブランドのオリジナルパソコンを5万円以下の価格で販売しているが、「ショップブランドとは一線を画したモデルとして知名度を高めていきたい」意向だ。

 パーツ市場は、台湾メーカーを中心に激しい販売競争が繰り広げられている。しかも、マザーボードなどはハードウェアの機能に大差がなく、価格を引き下げることでシェアを高める策が主流となりつつある。そのため、利益を確保することが難しい状況に各社とも追い込まれている。

 同社は具体的な売上高を明らからかにしてないが、2005年度(05年12月期)上期は前年同期比10%減にとどまる見通し。売上減にともない利益も減少。赤字には転落しないものの、「厳しい状況であることは確か」という。そこで、低価格化の競争を回避には「他社に真似できない新しい製品を投入することが最適」と判断、パソコンの販売に踏み切ることにした。今年度通期の売上高は前年度を下回る見通しだが、「利益率は高まるだろう」と予測している。

 パーツの粗利率は平均で10%未満といわれている。一方、ホワイトボックスは17%の粗利率を確保しているメーカーもある。葉社長は、「他社と比べて高めの価格設定になっていることから17%以上は確保できる」と自信をみせる。

 同社ではMiniPCの投入を機に、パーツメーカーから完成品メーカーへとビジネス転換を図る考え。将来は利益が高いパソコン周辺機器を手がける可能性もあり、Mini PCが戦略転換の成否を握るカギとなる。
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