石井克美のデジタル家電ナビ

<石井克美のデジタル家電ナビ>12.キーワードは「リビング」(2)

2005/06/27 16:51

週刊BCN 2005年06月27日vol.1094掲載

 シャープに続いて各社も続々と大画面リビングパソコンを市場投入する。富士通は「TX90L/D」「TX70L」を発表。ともにTVチューナーを内蔵した32インチワイド液晶ディスプレイを搭載する。「ディクセル」という新開発の高画質技術を用いているのが特徴。「ディクセルフィルター」が「デジタルシャープネス」や「ブラック/ホワイトエンハンサ」などの処理を施す。さらに、液晶ディスプレイ側で色補正をかけ、高画質を実現。富士通は「DVDレコーダと液晶テレビの組み合わせではD/A変換(デジタルとアナログの2重変換)で画質が劣化する。一方D/A変換が少ないディクセルは画質が美しくできる」という。

 さらに、上位モデルの「TX90L/D」はARIB(電波産業会)規格に準拠したデジタルコンテンツ保護・録画機能を持ったセキュアLSIを搭載し、デジタル放送のHD(ハイビジョン)画質録画・再生に対応。B-CASカードを挿入して、保護されたデジタル放送番組をセキュアLSI内部で復号化、さらに独自に暗号化することでハードディスクドライブ(HDD)内にHD画質のまま録画できる。再生は、セキュアLSIでローカルの暗号を解除した後、再生のために再度暗号化を施し、デコード処理の直前に復号化する。これでパソコン上でもHD画質での再生を可能にした。

 NECでは「バリュースターWシリーズ」を発表。上位モデルで26インチワイドの大型液晶ディスプレイを搭載。OSを起動せずに電源投入後すぐに液晶テレビとして使える「ハードウェアインスタントテレビ」機能や、家電を意識した筐体デザイン、大容量スピーカの搭載など、AV(音響・映像)関連機能を重視した液晶一体型デスクトップパソコンだ。

 「バリュースターW」は、春モデルで登場した高画質化エンジン「ビジタル」に加えて、さらに改良を行った「ビジタル・ライブ」も搭載。どちらも1枚のキャプチャーカードに実装されているが、ビジタルはリアルタイムの番組視聴や録画に利用できるのに対して、ビジタル・ライブはリアルタイムの番組視聴のみに使用する。

 NECは「バリュースターW」を少人数世帯向け液晶テレビと競合すると想定し、家電を強く意識している。たとえば、インスタントテレビ機能では、電源スイッチを入れてから3秒で番組を表示。その状態で専用のパソコン起動ボタンを押すとウィンドウズが立ち上がり裏番組の録画が可能になるなど、従来のパソコンとはひと味違っている。

 「リビング」というキーワードに「パソコン&デジタル家電」が加わり、吸収と融合の動きが熱を帯びていくだろう。
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