秋葉原物語

<秋葉原物語>[第3部 ムーブメント]31.昭和通り口にも駅ビル

2005/06/13 16:51

週刊BCN 2005年06月13日vol.1092掲載

 JR東日本(東日本旅客鉄道)グループで駅ビル「アトレ」を運営する東京圏駅ビル開発は、JR秋葉原駅昭和通り口に小型駅ビル「アトレヴィ秋葉原」を6月2日にオープンさせた。建設費は約6億円。初年度に12億円の売上高を見込む。

 アトレヴィ秋葉原は、既存施設のアトレと一線を画し、飲食店中心の駅ビルとしてオープンした。東京圏駅ビル開発にとっても新しい試みで、高架下や駅構内などの狭いスペースを有効利用することが狙い。地上6階建てで店舗面積が約1400平方メートルと、駅ビルのなかでは比較的小さい。しかし、2-6階にテナント出店している飲食店は7店で、喫茶店から和洋中、インド料理まで揃っており、会社員や学生などが気軽に利用できる。

 昭和通り口は、地下鉄の東京メトロ日比谷線秋葉原駅との連絡口。電気街側に比べ、賑やかさでは今ひとつ。しかし、地下鉄連絡の利便性を生かし、多くの来店者を期待できるようになる。加えて、首都圏新都市鉄道による秋葉原とつくばを結ぶ新鉄道「つくばエキスプレス」が開業するほか、隣接地にヨドバシカメラが大型店舗を今年9月にオープンするなどで一段と集客が高まることは確実だ。

 アトレヴィ秋葉原の2階部分では、つくばエキスプレスやヨドバシカメラの入り口への連絡通路を今夏に設けるための工事が急ピッチで進む。

 JR秋葉原駅前は、電気街口が先行して都市開発が進められてきた。アトレヴィ秋葉原のオープンを手始めに、昭和通り口も活気を帯びてくることになりそうだ。この改札口は、全国指折りの乗降客数であるにもかかわらず整備が遅れ、ラッシュ時には狭くて前に進めないといったクレームが多かった。しかも、改札口の先には急な階段があり危険性も指摘されていた。そういう“悪評”も、今年に入ってからは階段が取り払われ、以前よりも通行がスムーズになることで挽回。電気街口だけではない。秋葉原地区全体が進化している。(佐相彰彦)
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