店頭流通

エレコム ケーブルやマウスの海外展開を本格化 

2005/06/06 18:45

週刊BCN 2005年06月06日vol.1091掲載

 エレコム(葉田順治社長)は、海外でのケーブルやマウスなどの販売を強化する。今秋までに、市場拡大余地の大きい欧州など海外向けの製品ラインアップや生産体制を整備、価格競争力の高い製品として本格展開を開始する。海外向け製品の展開で部品調達なども含めた生産面でのスケールメリットが得られるため、ケーブルやマウスの原価低減にもつながる。さらに、海外向け製品の一部は、逆輸入の形で日本の法人向け市場に投入することも検討する方針だ。同社では、AV(音響・映像)系製品などの新規分野拡大にも注力しており、新しい収益源として確立させるためにも、既存のケーブルやマウスといった商品の事業効率の一層の引き上げを目指す。

今秋までに体制を整備
一部製品の逆輸入も検討

 ケーブルやマウスなどの製品は、エレコムの通電系製品(電気信号の流れる製品)のなかで利益率の高い分野となっている。しかし、国内の店頭市場は、コンペティターとの競争も激しい一方で、価格より品質が重視される傾向もある。これに対し海外市場では、購買を決定する要因に占める価格の比率が高く、商品的特性は異なっている。同社ではこれまで、日本市場向けを中心に商品展開を進めてきたが、市場拡大の余地は海外市場の方が大きい。

 加えて、同社が新たな収益の柱と位置付けているAV系製品のコンペティターは、従来のパソコン関連製品とは異なるため、「つくり込み」などを含め、製品開発力を高めるための投資が必要。AV系製品分野が立ち上がるまで、通電系製品の収益率をカバーするためにも、ケーブルやマウスの海外向け製品を本格展開することにした。

 製品の生産は、国内向け・海外向けとも中国などの協力工場が担当する。ケーブルについては、海外向けの生産体制整備も終了している。マウスについては、海外向けの基礎開発は完了しているものの、市場によりニーズが異なる面があり、早急に調整したうえで生産体制を固めていく方針。海外向けの生産が本格化すれば、部品調達なども含めたスケールメリットが得られるため、原価低減が可能になる。

 さらにコストパフォーマンスを高めた海外向け製品を国内市場に投入することも検討する。国内の店頭市場は、低価格が購買につながる形にはなっておらず、機能や品質が選別要因となる。しかし、法人向けでは、メモリなどと同じようにパソコン本体に付属する製品と位置付けられる場合が多く、一定以上の品質をクリアしていれば、価格も選別要因の1つとなる。このため、「エレコム」ブランドを付けずに、システムインテグレータ(SI)などの法人向け販売店用サイトなどを通じて流通させることも考える方針だ。
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