石井克美のデジタル家電ナビ
<石井克美のデジタル家電ナビ>9.日本ビクターのリアプロ新製品
2005/06/06 16:51
週刊BCN 2005年06月06日vol.1091掲載
実はこの製品は昨年北米市場に投入されたもの。その時点では日本での発売は未定とされていたが、国内での反響があまりにも大きかったことから発売に踏み切った。
52V型/61V型ともに消費電力が198Wで、“地球に優しい”省エネ大画面テレビ。省エネ設計ながら輝度は52V型が700カンデラ/m2、61V型でも500カンデラ/m2と明るい画面を実現。サイズは61V型が奥行き47cmで重さ46.3kg、52V型が41.2cmで重さ39.8kgと、両機種ともに同社製の21型ブラウン管テレビよりもスリムで29型ブラウン管テレビよりも軽い「コンパクト設計」だ。
HD(ハイビジョン)映像を非圧縮デジタル信号で入力可能な「HDMI端子」を装備したほか、同社のハイファイオーディオでも採用されているオブリコーンスピーカと専用バスレフボックスを採用。低音から高音まで迫力ある音を再生できるという。完全日本仕様で作られたビッグスクリーンエグゼは、内蔵の各種デジタルチューナー以外にデジタル/アナログ波に対応したEPG(電子番組ガイド)を搭載するなど北米モデルにはない機能も搭載されている。
現在プロジェクタ向けのマイクロデバイスは、LCD(HTPS)/DLP/LCOSの3方式が主流。このなかでPTV向けとして採用が進んでいるのがLCDとDLPだが、さまざまな部分で不満点も多い。そのLCDとDLPそれぞれの長所を取り込んで開発されたデバイスが、シリコン上に液晶パネルを形成した反射型液晶素子の「LCOS」だ。
LCOSは透過型のLCDに比べて光の損失量が少なく、自然な色再現性と滑らかな映像が可能だ。そのLCOSの派生モデルであるD-ILAは、LCOSのメリットをさらに強化。開口率が94%と高く、LCDと比べて圧倒的に光の利用率が優れている。また、画素ピッチや画素間のギャップが小さいため、画面上に画素が目立たない。配向膜に無機素材を使っているため、有機材料の配向膜を使うLCDなどと比べて寿命が長い(LCDは約1万時間、D-ILAは10万時間以上)。こうしたことから、D-ILAはマイクロデバイスの中で最もPTV向けといえるだろう。大画面テレビに「新たな一石」。そうしたことを予感させる製品だ。
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