全国ショップ激戦図
<全国ショップ激戦図>74.東京都台東区(下)
2005/04/25 18:45
週刊BCN 2005年04月25日vol.1086掲載
シルバー層のリピート率80%以上
JR上野駅近くという立地条件の良さから、幅広い年齢層が来店する。なかでも60歳以上のユーザーは来店者数の30%程度を占めている。「高齢者は店を気に入れば何度も来店してくれる。60歳以上のリピート率は80%を超えているだろう」と、台東区および周辺地区の競合店が獲得し切れていないシルバー層を確保していることが強みだ。シルバー層の来店が多い理由の1つは、銀塩カメラの品揃えの充実だ。「デジタルカメラは難しいというお客さんに対応している」ことで銀塩カメラファンを取り込んだ。近くに上野公園をはじめ美術館や動物園があり、観光客もフィルムや電池などの消耗品を購入する。銀塩カメラおよび関連機器の品揃えを充実させることで、同店のカメラ関連機器の売上比率は全体の26%を占める。カメラコーナーには、「銀塩カメラに詳しく販売経験が長い〝スペシャリスト〟を配置している」ことも売り上げの伸びにつながっているようだ。
一般的には、デジタルカメラ市場拡大で、銀塩カメラ市場は縮小傾向にあると言われている。そのため、「今後は高齢者でも簡単にデジカメが操作できるような説明を行っていく」と、接客の強化でデジカメの拡販も狙っていくという。
上野地区や近隣の地域では競合店がないというヨドバシカメラの上野店。だが、ビックカメラが3月10日にJR常磐線の柏駅前に大型店舗をオープンした。当然、意識せざるを得ない。「上野の地元住民だけでなく、JR常磐線を利用して柏や取手から訪れるユーザーも多い」ためだ。春商戦はポイント還元率をアップするなど、特別キャンペーンを実施し、現段階では売上高にダメージを受けていない。もっとも、「今後は来店者数が減少する危険性もある」と危機感を募らせる。
来店者数が減少しても業績を伸ばしていくために、新入社員を中心に15人の人員増強を図った。「忙しい時でも来店者に必ず応対できる体制をつくり、お客さんのニーズに合った商品の購入に結びつける」ことを徹底する。そのために、高齢者をターゲットに、パソコンやデジカメの操作を丁寧に説明することで、1人あたりの購入単価を上げていく。その一方で、20歳代の店員を増やすことで、若年層のリピート率も向上させたい考えだ。(佐相彰彦)
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