秋葉原物語

<秋葉原物語>[第2部 エボリューション]25.産学連携の共同開発が始動

2005/04/25 16:51

週刊BCN 2005年04月25日vol.1086掲載

 JR秋葉原駅前の超高層ビル「秋葉原ダイビル」の目玉は、地上5-15階に「産学連携機能」を取り入れていること。同フロア内にはIT企業や大学などがテナント入居。このほど産学連携で実現する共同開発テーマを各テナント入居者がプレゼンテーションした。企業と大学のコラボレーションによる共同開発がいよいよ動き出す。

 産学連携フロアでは、ハードウェアやソフトウェアを問わず、さまざまな研究テーマに取り組んでいく。ビルの運営会社であるクロスフィールドマネジメントの山本俊行・ゼネラルマネージャーは、「米国や欧州に負けない、世界屈指のハードやソフトを開発する」ことが産学連携機能のコンセプトという。

 「ITは変化が激しい。例えば1年などという長い期間をかけて開発していては、日本は世界で立ち後れてしまう。産学連携フロアでの共同開発は、数か月という短いサイクルで新しい技術を創出していく」(山本ゼネラルマネージャー)ことを目指し、その機能を提供できるという。

 クロスフィールドマネジメントでは、秋葉原電気街振興会など近隣の団体に、産学連携機能で創出した研究成果を家電量販店で販売するようにアプローチをかけるなど、共同開発を全面的に支援する方針だ。

 山本ゼネラルマネージャーは、「産学連携が上手く機能する場を設けることが当社の使命。企業や大学に限らず、行政や関係団体などが自由に集まり、秋葉原のいろいろな場所で新しい交流が生まれることが望ましい」と期待を寄せている。そのためには、交流を促進するためのスキームを作り、「徹底していくことが重要」と訴える。

 秋葉原ダイビルのオープンに象徴されるような再開発で、秋葉原にはパソコンマニアやアニメファンだけでなく幅広い年齢層の人が来るようになるだろう。秋葉原ダイビルは、秋葉原に産学連携という新しいコンセプトを持ち込み、共同開発によって生まれた製品を秋葉原電気街で販売するというサイクルを構築し、地区全体の活性化につなげていく。「将来は、秋葉原ダイビル内の産学連携機能で新技術を開発、その技術を“秋葉原発”として世界に広めていく」考えだ。

 もちろん行政も含めた産学官連携も秋葉原を活性化するだろう。経済産業省が主導となり、秋葉原電気街を中心にICタグ関連の実証実験を今年夏頃に実施する模様。

 秋葉原地区が世界のIT拠点となる布石は着々と打たれている。(佐相彰彦)
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