全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>73.東京都台東区(上)

2005/04/18 18:45

週刊BCN 2005年04月18日vol.1085掲載

 東京都台東区では、上野駅前に店を構えるヨドバシカメラの「上野店」が上野地区、浅草駅前の松屋浅草にテナント出店するベスト電器の「浅草松屋店」が浅草地区でそれぞれトップシェアを握っている。台東区は、プライスリーダーのヤマダ電機や、各地でマーケットシェア拡大のために出店・リニューアルを急ぐコジマが出店していない。家電量販店の店舗が少ない珍しい地区だ。

ベスト電器、競合の隙間を攻略

 各量販店が出店を控えているのは、商圏が狭いうえに賃料が高いなど、出店条件が決して良いわけでないことが原因。しかし、地元住民を固定客として確保したり、浅草の観光客の来店を促すことでユーザーを確保する戦略で利益を伸ばせるのが特徴でもある。ベスト電器の浅草松屋店は、「近くには秋葉原電気街があり、郊外にも競合他社が大型店舗を出店している。遠方からわざわざお客さんが来店することは少ない」(辻峰春店長)としているものの、「地元に住む60歳以上のシルバー層を対象とした店舗づくりを徹底するといった競合店の隙間を攻める戦略でリピーターを増やした。2004年度(05年2月期)は、売上高が前年度を若干下回ったが、営業利益は上回った」(同)と東京・下町で地元密着の戦略が奏功している。

 ベスト電器浅草松屋店のオープンは02年5月。ポイントカードの加入者数は、昨年度末で3万5000人に達した。1日平均のレジ通過数は平日で400人、休日で500人以上。そのうちの50%が60歳以上だ。「シルバー層のお客さんのほとんどが当社のポイントカードを持っている」(同)と、リピート率の高さをアピールしている。商圏は半径2キロメートル以内と、他地区で出店する競合店と比べてはるかに狭い。しかし、「浅草は高齢者が多い地域。来店者は、自転車や徒歩で訪れるケースが多い。商圏が狭くても十分にユーザーを獲得できている」と、地元密着型が堅調の要因という。

 商品は、高齢者に人気が高いマッサージ機や健康状態を自らチェックできる血圧計、歩数計の品揃えを充実させている。健康関連機器の売り場では、大型テレビを見ながらマッサージ機を体験したり、くつろぎながら商品を体験できるコーナーを設ける工夫も。パソコンの販売では、店内で定期的にパソコン教室を開催し、購入者を増やしている。パソコンおよび関連機器の売上比率は全体の25%弱。「パソコンを販売すれば、用途提案で周辺機器やサプライ品の販売増につながり、利益が増える」と、商品についてもユーザーへの浸透を図っている。(佐相彰彦)
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