石井克美のデジタル家電ナビ

<石井克美のデジタル家電ナビ>2.携帯電話に新しい動き(上)

2005/04/11 16:51

週刊BCN 2005年04月11日vol.1084掲載

 移動体電話のパケット通信定額サービスは今や当たり前。そうした動きに加え「通話料金定額」のサービスが現実化する。

 その先陣を切るのはウィルコム。「ウィルコム定額プラン」で5月1日より開始される。ウィルコムでは、モバイルデータ通信のAIR-EDGEサービスですでにパケットデータ通信完全定額制を導入。本サービスの提供によって、データ・音声ともに定額制となり、よりリーズナブルに利用できるようになる。

 「ウィルコム定額プラン」は、月額基本使用料だけでウィルコム電話機間の音声通話、直送メール、そしてEメールの送受信が無料で利用できる業界初のサービス。ウィルコムが有する大容量マイクロセルネットワークにより、固定電話並みのクリアな音声品質、広範囲なエリアカバー、低SAR値というさまざまな利点を持つ高品位な定額サービスを実現するという。

 このサービスの提供開始で、利用料金を気にすることなく、音声通話やメールが利用できるようになるのだ。

 今年3月に米ニューオリンズ(ルイジアナ州)で開催された通信関連イベント「CTIAワイヤレス2005」。このイベントにはNTTドコモやモトローラ、ノキアなどが出展し、米国をはじめとする移動体電話の最新動向が紹介されていた。

 そのなかで筆者が注目したのは、クアルコムのブース。1xEV-DO方式でのVoIPサービスのデモンストレーションが行われていた。1xEV-DO方式は、auのパケット通信定額サービス「ダブル定額」の実現に貢献したデータのやり取りに特化した通信方式。

 これまでクアルコムでは、「1xEV-DOはデータの通信に適した方式」と繰り返しアピールしており、音声通話をデータ通信上で実現できるVoIPをサポートすることは、従来のスタンスから見れば、大きな方向転換と言える。

 これには「QoS技術の向上によって、1xEV-DOの仕組みでもVoIPが実現できることがわかってきた。キャリアにとっては、1xEV-DOの基地局、ネットワークを整えるだけで音声通話もサポートできるようになる」といったことが大きいとしている。

 デモ機2台でVoIPによる通話では、若干音声が口から声が発生されたタイミングよりも遅れて聞こえたが、こういった点は改善されていくだろう。

 同一キャリア間における定額通話やVoIPによって安価な通話が可能になれば、さらに移動体電話の利便性がアップするのは間違いない。ユーザーから見れば、通信環境の整備が迅速に行われることを望むばかりである。
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