秋葉原物語

<秋葉原物語>[第2部 エボリューション]21.イベントは“文化”

2005/03/28 16:51

週刊BCN 2005年03月28日vol.1082掲載

 秋葉原電気街に多くのマニア、ユーザーが集まる場として代表的なのが、毎週どこかで開かれている「イベント」だ。週末にはパソコン専門店や家電量販店がパソコンゲームやテレビゲームの大会、アイドルのサイン会などを開催する。それを目的に、多くのゲームユーザーやアイドルファンなどが訪れる。

 最近は、マニアやヘビーユーザーなどのいわゆる“おたく”だけでなく、ファミリーやカップルなど幅広く集客するためのイベントも行われる。

 東京都・ヘブンアーティスト運営委員会の主催で、審査で選定した大道芸人に活動の場を提供する「ヘブンアーティストIN秋葉原」が3月20日に行われた。休日に歩行者天国となる電気街内の中央通りを会場とし、「石丸電気本店」や「オノデン本館」、「ソフマップ秋葉原1号店Chicagoパソコン・デジタル館」、「サイバースポット」、「ヤマギワ東京本店」などの前で12組のアーティストがパフォーマンスを繰り広げた。秋葉原電気街振興会が共催、千代田区が後援、イベント当日の運営を日本音楽映像ボランティアセンターが協力した。

 ソフマップ秋葉原1号店Chicagoパソコン・デジタル館の前では、中国雑伎芸術団がアクロバットパフォーマンスを披露。多くの観客を魅了した。アクションの1つ1つに拍手喝采が沸き起こった。

 石丸電気本店前とサイバースポット前では、ジャグリングに観客が息を呑み、オノデン本館前とヤマギワ東京本店前でのパントマイムに多くの見物客が笑いを誘われるなど、路上パフォーマー達がさまざまな空間を演出していた。

 この日ばかりは、各ショップの店員が休憩時間など仕事の合間を縫ってパフォーマンス見物を楽しむ姿も。しかし、仕事に戻れば表情は真剣そのもの。集まった観客を来店させるための呼び込みをかけたり、タイムセールを実施するなど来客を増やすことに一生懸命。

 当日は、中央通りを多くの見物客が埋め尽くした。これは、電気街のイベントが街を活気づかせる“文化”であることを証明している。秋葉原関係者の1人は、「ユーザーがパソコンや白物家電を購入する目的に加え、楽しめるという点から電気街のリピーターになってくれるかもしれない。そのためにもイベントの開催は意義のあるもの」と、集まった人々を見ながら話していた。(佐相彰彦)
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