拡大するデジタル情報機器市場

<拡大するデジタル情報機器市場>22.無線LAN・UWB

2005/02/07 16:51

週刊BCN 2005年02月07日vol.1075掲載

 2003年まで、一般向け無線LANアクセスポイント市場が大きく拡大した。家庭内でノートパソコンをネットワークに接続することを目的に購入されることが多かった。(廣戸健一郎 野村総合研究所 コンサルティング部門 情報・通信コンサルティング二部)

 04年になり、パソコン向け需要が一服し、無線LAN市場は四半期の売上台数が50万台程度で横ばいになった。03年に最大速度54Mbpsの「IEEE 802.11g」が標準化された。次に同100Mbpsの「IEEE 802.11n」が標準化されるのは、06年の見通しとなっている。

 このため、パソコン用途の無線LANについては、しばらくの間、大きなリプレース需要も期待できない。

 しかし、ここにきて、家電向け無線LANの需要が見え始めてきた。

 AV(音響・映像)家電の家庭内ネットワーク規格である「デジタル・リビング・ネットワーク・アライアンス(DLNA)」のVer1.0の仕様が固まり、05年初にはDLNA対応の機器などが発売される見通しである。また、メーカーごとの独自仕様でネットワーク接続できるDVDレコーダーなどが発売され始めている。

 05年の国内DVDレコーダー出荷台数予測は、5050万台程度と見ているが、このうち2-3割の機種はネットワーク対応となるだろう。ネットワーク対応DVDレコーダーの需要に牽引され、05年に再び無線LAN市場が活況を取り戻す可能性がある。

 新しい家庭用無線システムとして注目を浴びているのがUWB(ウルトラワイドバンド=超広帯域無線)である。UWBは技術的に特異な無線通信方式で、データを1GHz程度の広い周波数帯に拡散して送受信を行う。同じ周波数帯を使う無線機器と混信することがなく、消費電力も少ない点がメリットとなっている。

 現在、米インテルなどが中心となり、ワイヤレスUSBとして仕様を固めている。2メートルの範囲で最大480Mbpsの通信速度を実現できるとされ、現在のUSBを代替する用途に利用される。将来的には、現在のUSBポートの代わりに各機器に内蔵されてしまう。

 しかし、1-2年の間は、USBポートにUWB通信モジュールを挿入して利用する方法が普及するだろう。

 また、到達距離が短いとはいえ、無線LANの10倍の速度で通信ができるため、無線LANの代替用途としても普及していく可能性がある。

 AV家電への対応も進んでいくと予想され、無線通信モジュールの売り上げが今後大きく期待できる。
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