拡大するデジタル情報機器市場
<拡大するデジタル情報機器市場>20.電子ブック(中)
2005/01/24 16:51
週刊BCN 2005年01月24日vol.1073掲載
両者の主な仕様を見ると、ソニーのリブリエが、表示画面が1面で軽量であるのに対し、松下のシグマブックは、表示画面が2面で見開きの本を踏襲しているものの重量が重くなっていることが特徴的だ。画面表示自体も、シグマブックは青っぽい画面で、リブリエに比べると、やや見にくい印象がある。
また、リブリエにはキーボードが付属しており、読書中、辞書検索などを行うことが可能。さらに、音声付きのコンテンツにも対応することができる。
現状で両者を比べると、リブリエの方がやや使いやすいといえる。だが、重量や表示などについては、松下も認識済みであり、今後新型の端末が投入され、前述のような利便性が向上される可能性はある。
さらに、リブリエとシグマブックでは端末だけでなく、コンテンツの利用(購入)形態も現状では異なっている。
リブリエの方は、ソニー、講談社、新潮社、大日本印刷、凸版印刷など出版業界関連企業15社でパブリッシングリンクという合弁会社を設立し、リブリエやパソコン向けに「Timebook Town」という新しい電子書籍サービスを提供している。
これは、今までの電子書籍サービスは、ダウンロード型の従量型課金方式(シグマブックもこの方式)が中心であったのに対し、購読期間が限定されている(2か月間)レンタル型(貸本型)で、その代わりに1冊の料金単価を安価になっているのが一番の特徴。例えば、新潮社刊の松本清張氏の小説で見ると、従来の電子書籍サービス(新潮オンラインブックス)では1冊あたり420-700円程度の価格。これに対しTimebook Townでは、1冊あたり400円弱程度になっている。
また、Timebook Townでは、1冊ごとに購入するサービス「Timebook Library」(月額基本料金210円+電子書籍の利用料金)のほか、月々定額料金(630-1050円)で5冊まで利用可能というサービス「Timebook Club」も提供している。
このように現状では、サービス面でもリブリエの方がシグマブックよりも、既存ビジネスを補完する形でユーザーの利便性を意識したものになっている。
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