全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>52.千葉・幕張(下)

2004/11/15 18:45

週刊BCN 2004年11月15日vol.1064掲載

 千葉・幕張地区は、周辺地域を含めた住宅開発、オフィス街化が進み、住民や会社員が急速に増えた。そのため国道14号線沿いにコジマの「NEW幕張インター店」、ラオックスの「幕張店」、ヤマダ電機の「テックランド幕張店」と複数の家電量販店が出店、日本で有数の家電量販激戦区へと変貌を遂げた。

新しい情報提供を徹底

 2000年2月から店を構えるラオックスの「幕張店」では、「04年度(05年3月期)は売り上げが大幅に下がっているわけではないが、前年同月比で横ばいが続いている。昨年度までは売り上げが伸びていたが、来店者数を増やすための競争が激しくなっている」(加藤健一店長)という。

 業績を伸ばすために同店では、「ニーズに合った商材を多く仕入れる」という「基本中の基本」に立ち返り、これに専念している。どのような商品が売れているかデータをチェックし、売れない商品を在庫として抱えないことに力を注ぐ。1つの例でいえば、冬に売れ筋商品になる暖房器具。商品の流れを注視し、「ガスヒーターよりもエアコンの方が売れる」という結論に達した。高層住宅の多い幕張地区の場合、「新築マンションは、冷暖房など家の中の熱源をすべて電気にするオール電化のケースが多い」からだという。そこで、今年の冬商戦では、エアコンを数多く仕入れる一方でガスヒーターのアイテム数を減らしている。

 また、「30─40歳代のファミリーはインターネットを情報収集ツールとして使いこなしている」とし、「ユーザーよりも先を行く情報を収集する」ことも心がけている。週1回開いている売り場ごとの勉強会では、来店者が各商品に対してどの程度の知識をもっているかをスタッフ同士で話し合い、ユーザーのレベルより高い商品知識の習得に励む。加えて、日々の接客で吸い上げた来店者の声を出し合い、ユーザーが店に何を期待しているかを確認し合う。勉強会で接客の質を向上させ、リピーター率を高めることにつなげているというわけだ。

 ラオックス「幕張店」の1日平均の来店者数は、平日が約1500人、土日が3500人。そのうち、顧客として何度も足を運ぶユーザーが60%以上を占めており、「競合店と比較すれば高いほう」と自信をみせる。激戦区であるために、価格競争は確実に激しくなっている。しかし、「低価格の土俵では戦わない。顧客や商品の分析で来店者数やリピーターを増やす」ことに自信を持っている。価格競争を横目に、業績不振に陥らないためには、「基本」を徹底している今年度が正念場になる。(佐相彰彦)
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