拡大するデジタル情報機器市場
<拡大するデジタル情報機器市場>9.AVパソコン(上)
2004/11/01 16:51
週刊BCN 2004年11月01日vol.1062掲載
現在、国内主要パソコンメーカーの主力機はいずれもAVパソコンである。他社との競合のなかで大容量化、多チューナー化が進んでおり、この秋にソニーから発表された「バイオ タイプX」においては、1テラバイトのハードディスクを搭載し、5.5日分の6チャンネル同時録画が可能なまでに至っている。
同じ機能を提供する機器に、録画と再生に特化したDVDレコーダーがある。ここ数年、急速に開発が進み、売り上げを伸ばしている分野である。
DVDレコーダーは長い期間にわたってビデオテープレコーダーを使用してきた層にとって、代替機器として受け入れられやすかったことと、操作が比較的容易であることから、普及においてはAVパソコンより一歩優位に立っている。
それでは、AVパソコンを導入している消費者とはどのような層であろうか。
現在、AVパソコンを購入している層は、2つに大別できる。両者ともパソコンの導入、あるいは所有に意欲的であるという点においては共通しているが、その生活スタイルは大きく異なっている。
一方は、学生や独身の1人暮らしなど、テレビとパソコンを別個に買うには経済的、空間的に制約がある層である。もう一方は、個人用のパソコンにAV機能を持たせることに付加価値を見い出した層である。前者とは異なり、テレビやDVDレコーダーを家族で共有するリビングなどに所有しているが、自身のパソコンの機能拡張の一環として、テレビの観賞も可能にしたいとの発想に基づいてAVパソコンを購入している。
今後、録画機能は、一部の価格重視のローエンド機以外には標準的に搭載される機能となってゆく見込みだが、パソコン上での録画機能に価値を見い出す層が、上記の2つの層であることにはこれからも本質的に変化がないだろう。
これらの対極的な消費者のニーズの動向と、これに対するパソコンメーカーの対応に注目したい。
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