店頭流通
NECパーソナルプロダクツ 販売店仕様のパソコンが急増 出荷比率1割から2割に
2004/10/25 18:45
週刊BCN 2004年10月25日vol.1061掲載
販売店仕様モデルは、メーカーブランドのパソコンをショップのニーズに対応させ、ハードのスペックにモディファイを加えた製品。DVD-ROM機能搭載機種をマルチドライブ機能にバージョンアップしたり、HDD(ハードディスク)の容量を増やすなどカタログモデルにないカスタマイズをメーカーが行っている。
ショップにとっては、競合店舗との差別化を図るために積極的に導入する傾向にあり、これにより拡販を狙っている。メーカーがラインアップとして揃えた標準モデルは多くのショップで販売しており、差別化には現金およびポイント還元などに限られてくる。これに対して1社限定のモデルは、価格を下げなくてもニーズに合えば、ユーザーが値頃感で購入するというメリットがある。
メーカーにとっては、低価格になりにくいモデルは売り上げアップのために重要なアイテムになる。販売店仕様モデルは、地域特性を含めたユーザーニーズを把握するショップの強みを生かして製品化するため、購入者のニーズに合致することが期待でき、出荷台数を増やしても過剰在庫になりにくいという。
NECパーソナルプロダクツの場合、昨年度のコンシューマ向けパソコンにおける販売店仕様モデルは出荷台数全体の1割程度に過ぎなかった。しかし、今年度に入ってから2割まで増えてきたことから、「今後もこの傾向が高まっていくだろう」(片山社長)とみており、出荷台数も増えることを見込んでいる。
同社は、販売店仕様モデルの増加に加え、「デジタルAV(音響・映像)需要がますます高まっていく」(同)などの理由から、今年冬商戦で出荷台数が前年同期比5-6%増になる見通しを立てている。
販売店仕様モデルが増えている要因については、パソコンがコモディティ化するにつれ、機能面での差別化要素が少なくなってきたことによる。このため、あえてスペックを変えた仕様を用意することで、購買意欲を煽るのが目的だ。加えて、家電量販店やパソコン専門店の過剰出店により、情報関連機器の販売合戦が一段と激しさを増すなかで、メーカー製パソコンといえども、横並びのスペックでは売りにくいという側面もある。
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