店頭流通

上新電機 低価格パソコンの販売が好調 年末商戦向けにノート型の投入も

2004/10/11 18:45

週刊BCN 2004年10月11日vol.1059掲載

 上新電機(土井栄次社長)が、パソコンの店舗販売活性化を狙いに8月から投入した低価格デスクトップパソコンが好調に推移し、集客や他の製品販売にも相乗効果を生んでいる。10月末までに販売を予定していた6000台のうち、9月末までに半数以上を販売しており、今後は年末商戦に向け、ノート型など商品ラインアップの拡充を検討している。

 8月21日から販売を始めたのは、米イーマシーンズ製デスクトップパソコン3機種。取り扱い告知などの問題で、販売開始当初は出足が遅かったものの、雑誌やチラシ、既存顧客へのダイレクトメールなどの販売促進活動を開始した後は動きも加速し、発売後1か月ですでに当初の販売目標数量の半分を超えることとなった。売れ筋となっているのは、当初予想通り中間価格帯(CPUにインテル・セレロンD330搭載)の商品だが、他の2機種(同D325搭載のスタンダードモデル機とAMDアスロン64プロセッサ3200+搭載のエクセレントモデル機)も、同社の販売結果集計では上位にランキングされるようになっている。

 販売開始後の中間的な分析によると、購入者のほとんどが買い替えまたは買い足し目的で、いわゆるパソコン初心者は含まれていない。このため、店頭での接客時間は短く、メモリ増設など必要な機能のグレードアップを求める層が多くなっている。

 その一方で、プリンタやモニタといった周辺機器の同時購入は、通常のパソコン店頭販売の場合に比べ少なくなっている。しかし、モニタなどは既存商品の販売に加え、そのまま上乗せとなるため、パソコン関連商品全体としての売り上げ拡大効果は得られるようになっている。

 また、パソコン関連以外の販売にも効果が現れている。低価格パソコンの投入は、既存顧客に対するダイレクトメール送付の機会に結びついた。このため、低価格パソコンとともに、大画面の薄型テレビなどのデジタル家電製品を購入する既存顧客も約1割程度あったことが、販売データから判っている。

 上新電機によるイーマシーンズ製品の店頭市場投入は、国内メーカーがAV(音響・映像)機能強化の製品戦略を展開し、純粋なパソコン機能のみを求めるユーザーがダイレクト販売に流れるという傾向に対応することに目的があった。今回投入した製品の購入者には、中小企業などの法人やSOHOといった通常はあまり店頭に訪れないようなビジネスユースの購入者も含まれている。また、イーマシーンズ製品販売をきっかけに来店したパソコン初心者が、結果的に国内メーカー製品を購入する場合も多い。パソコン店頭市場の活性化には効果をあげた形となっている。

 上新電機では、年末商戦に向けてノート型や国内メーカー並みのフルスペックとまではいかないまでもAV機能を搭載した製品など、新規ラインアップの取り扱いを検討している。パソコン店頭市場活性化の施策は今後も継続していく考えだ。
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