店頭流通

アイ・オー・データ機器 メモリ市場でのシェア拡大に注力 「ラムファントム」でユーザーを開拓

2004/09/20 18:45

週刊BCN 2004年09月20日vol.1056掲載

 アイ・オー・データ機器(細野昭雄社長)が増設メモリ市場でのシェア拡大に注力している。7月からメインメモリに仮想メモリ空間を作るRAMディスク作成ソフト「ラムファントム」を自社サイトで発売。このほど、パソコン専門店や家電量販店のサイトでも販売を開始した。同社は、メモリ市場で思うようにシェア拡大が図れていない。メモリの用途提案を強化し、付加価値戦略で新規ユーザーを獲得していく。

 RAMディスク作成ソフト「ラムファントム」は、メインメモリのなかに仮想のハードディスク領域を作るソフト。DRAMに一時的にデータを蓄えることで、通常のハードディスクに比べデータの転送速度が20倍以上と高速になり、データの読み書きに時間がかかるアプリケーションソフトの利用だけでなく、画像や動画の編集作業を迅速に行えるのが特徴。アイ・オー・データ機器では、昨年末にメモリ購入者に対して簡易版を無料で配布してきた。今年7月からは、自社サイトで通常版を販売し、8月から複数のショップサイトでも販売を開始した。

 同社がラムファントムを提供しているのは、メモリユーザーの裾野を広げることが狙い。福岡俊男・コモディティユニットプロダクトリーダーは、「パソコンユーザーにメモリ活用のメリットを訴えることが市場活性化のカギ」と強調する。メモリ市場では、ノーブランドメモリなど低価格製品のシェアが高まっているものの、「低価格とは異なった付加価値戦略で新規ユーザーを開拓し、シェア拡大につなげる」方針。

 BCNランキングによれば、8月のメモリ市場は、トップシェアがバッファローで36.3%、2位がノーブランド製品で33.1%。この2つで市場の70%近くを占めている。アイ・オー・データ機器は、14.6%のシェアで3位となっているが、バッファローやノーブランドメモリに2倍以上の差を付けられている。同社は、これまでもメーカー別販売台数シェアで3位を維持しているものの、バッファローやノーブランド製品を追い抜けないのも否めない。

 一方、増設メモリの市場規模は標準搭載の容量が拡大していることやパソコン本体の市場低迷で、年々減少している。BCNランキングでは、8月が台数ベースで前年同月比22%減、金額ベースで同18%減と厳しい状況。メモリ需要を増やしていくことがシェア拡大につながると判断した。

 ラムファントムの販売実績については、同製品を開始してからもメモリのシェアが拡大していないため、「メモリの拡販として表れているほどの効果が出ているわけではない」のも事実。しかし、「ラムファントムの購入者が徐々にではあるが増えつつある」としており、これが増設メモリの購買層につながると期待している。同社では、冬商戦に向けて、「パソコン専門店や家電量販店でPOPを張るなど販促活動を強化する」ことも検討しており、あの手この手でメモリ拡販につなげたい考えだ。
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