拡大するデジタル情報機器市場

<拡大するデジタル情報機器市場>3.DVDレコーダーとホームネットワーク(中)

2004/09/20 16:51

週刊BCN 2004年09月20日vol.1056掲載

 HDDの容量拡大に伴い、DVDレコーダーの中には大量のコンテンツが蓄積されるようになる。例えば、ソニーのHDD内蔵レコーダー「コクーン」には、500ギガバイトのHDDが搭載されており、最大で342時間分の放送が録画できる。(廣戸健一郎 野村総合研究所 コンサルティング部門 情報・通信コンサルティング二部)

 今後、さらに長時間のコンテンツを蓄積できるようになるのは確実だ。この膨大なコンテンツを、レコーダーに直接接続されたテレビだけではなく、別のテレビやパソコンなどでも視聴できるようにするのが「ホームネットワーク」の役割である。

 今でも、DVDレコーダーの中にはネットワーク接続できるものがある。ほとんどは、インターネット経由でEPG(電子番組表)をダウンロードしたり、録画予約したりするためのもので、まだコンテンツをやり取りする機能を持っているものは少ない。

 この中でNECの「AX300」という機種は、内蔵HDDに蓄積したコンテンツをLANを通じてパソコンにコピーする機能を持っている。ユーザーは、パソコンに専用ソフトをインストールすることで、AX300に指示を送り、録画されたコンテンツをパソコンに送信させることができる。

 AX300は先進ユーザーに好評な機種であったが、ここに今後ホームネットワークが普及していくための課題が見て取れる。1つ目の課題が、著作権管理である。現在のアナログ放送には、コピーを制御するための規制が何もかかっていないため、AX300は自由にコピーを作ることができた。しかし、今後普及するデジタル放送には、非常に厳しいコピー制限がかかっているため、録画データをパソコンに送るといった使い方は事実上不可能だ。

 2つ目の課題は通信規格である。AX300では専用ソフトをパソコンにインストールした。しかし、今後異なるメーカーの家電同士がネットワークに接続することになると、通信規格が予め決められていなければ、互いにデータを送り合うことができない。

 これらの課題を解決するため、世界中の大手家電メーカー、パソコンメーカーが集まりDLNA(Digital Living Network Alliance)という団体が作られた。

 ここでは2004年中に家電やパソコン間の通信規格、05年以降、著作権管理の仕組みを策定することを予定している。

 ホームネットワークが本格的に普及するのは、DLNAの活動の成功以後になるだろう。
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