全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>43.宮城・仙台市(下)

2004/09/13 18:45

週刊BCN 2004年09月13日vol.1055掲載

 宮城県仙台市では、郊外でヤマダ電機やデンコードーがシェアを拡大している一方、JR仙台駅前でヨドバシカメラが来店者数を増やしており、今後ますますマーケットの主導権争いに拍車がかかるのは必至だ。

3社を追いかけるベスト電器

 3社とも、競合他社よりも強い部分を最大限に生かしている。ヤマダ電機は、ドミナント方式(高密度多店舗出店)で仙台市に集中して店舗を出店。しかも競争力のある価格を打ち出している。

 デンコードーは宮城県を本拠地とし、サポートと競合他社を凌ぐ出店数で圧倒的な知名度を誇っている。ヨドバシカメラは駅前という好立地に加え、60万アイテムを超える品揃えで幅広いユーザーを獲得する体制を整えた。こうした差別化戦略が功を奏し、それぞれが多くの顧客を獲得しているというわけだ。

 差別化で出遅れた店舗は、仙台市でのシェア拡大に必死だ。九州地区でトップシェアのベスト電器が2000年に住宅街の泉中央駅近くに出店した「仙台店」は苦戦を強いられている。03年度(04年2月期)の売上高について、金額は明らかにしていないが、前年度の98%にとどまったという。昨年度に就任した森永省三店長は、「昨年度は、3社のシェア争いを黙って指をくわえて見ている状態だった」と認めており、「今年度は必ず売上増を達成する」と闘志を燃やす。

 まず、午前10時から夜9時までだった営業時間を午前10時から夜8時までに縮めた。「夜8時以降の来店者がほとんどいなかったことから、店を開けていることは不採算と判断した」と、無駄を省きコスト削減を実施した。

 営業時間の短縮は、平日の夕方や土日など来店者が増加する時間帯に従業員を集中させるシフトを組むことが狙いだ。全体の従業員数を増やさずに丁寧な接客を行うことができるようになった。

 加えて、夏商戦の6-8月はポイントカード還元率を最大20%まで引き上げた。ベスト電器では、ポイント還元を行っていない店舗も多く、行っていても10%が還元率の限度だった。さらに価格に関してもベスト電器の他店舗よりも2-3%割安の価格で販売。「競合店に引けを取らない価格を打ち出し、リピーターを確保する」ために低価格戦略に踏み切った。

 1日平均の来店者数は、平日が200-250人、土日が600人と昨年度から変化は少ない。しかし、「夏商戦以降、ユーザー1人あたりの購入単価が1万円から1万5000円に増加した」と効果が出始めている。今後も、低価格と接客を武器に集客力をアップし、競合店に負けない店舗を作り上げていく。(佐相彰彦)
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