店頭流通

上新電機 非AV系パソコン拡販で需要喚起図る ハイエンド投入も検討

2004/08/23 18:45

週刊BCN 2004年08月23日vol.1052掲載

 上新電機(土井栄次社長)は、非AV(音響・映像)系パソコンの販売強化で、低迷するパソコン需要の喚起を図る。米国のパソコンメーカー、イーマシーンズとの提携により21日から販売を始めた低価格パソコンをテコに店頭販売を活性化。デルなどのメーカー直販に対抗しつつ、AV機能の強化に注力している国内メーカー製品ではカバーできない個人やSOHOなど中小事業者の選択肢を増やすことで市場を開拓する方針だ。さらに下期以降には、低価格の普及商品ではなく、非AV系ハイエンド商品のラインアップを揃えることも検討している。

 上新電機が販売を始めたイーマシーンズ製品は、価格性能比に優れたデスクトップモデル3種(5万2800円-9万9800円)。取り扱い店舗は関西が中心となるが、その他の地域についてもJ&Pブランドの店舗を含め、合わせて100店以上で展開する。当面は10月までに初回の3モデルで6000台の販売を見込んでいる。

 デルや日本ヒューレット・パッカード(日本HP)などがメーカー直販を展開する一方で、国内メーカーはAV機能を強化した製品を相次いで投入している。このため、AV機能が不要な消費者やSOHOなど中小事業者の選択肢は狭まり、ローエンド製品については、多くがメーカー直販に流れる傾向が顕著になっている。パソコンの店頭販売を活性化する意味からも、低価格ながら本来パソコンに必要な機能に優れた製品をイーマシーンズ製品に求めた格好。

 同時に、イーマシーンズの親会社である米ゲートウェイが日本への再参入を計画、法人向けを中心展開する方針を示している。国内販売チャネルを持つ上新電機とハイエンド製品までの商品ラインアップを持つゲートウェイ・グループが相互に補完し合うことは可能だ。かつてのゲートウェイ・ユーザーの買い替えなどでも、相互にメリットが得られる可能性もある。このため、上新電機としては、ハイエンド製品までのラインアップを整え、取り扱うことも検討していく考え。

 パソコン市場では、今年度下期はエポックとなるようなイベントはなく、量販店での集客も薄型テレビなどのデジタル家電に流れる可能性が高い。AV機能付パソコンでは拾い上げられないような顧客層をつなぎとめなければ、店頭市場は凋落が続く結果になりかねない。上新電機では、イーマシーンズ製品販売をテコに、店頭販売での選択肢を増やし、個人・中小事業者需要を喚起していく考えだ。
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