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夏休み中のウイルス発生状況 甚大な被害は発生せず

2004/08/23 16:51

週刊BCN 2004年08月23日vol.1052掲載

 昨年8月12日、夏休みの真っ只中にウイルス「MS Blaster(ブラスター)」が発生、わずか3日後にはその亜種が2つも発生するなど、企業、個人を問わず、大混乱を巻き起こしたのは記憶に新しい。今年の夏休みもセキュリティベンダーは警戒を強めていたが、深刻なアウトブレイクも起こらず、まずは一安心だったようだ。

 夏休みを取る企業が多かった8月9日(月)-15日(日)の期間中に、セキュリティ大手のトレンドマイクロに寄せられたウイルス被害報告は、前週に比べてほぼ変わらず、「ブラスターのようにユーザーが知らないうちに感染を広げるような深刻なウイルスは発生しなかった」(トレンドマイクロ)状況。

 昨年は、ブラスターの発生だけで1日に200件の被害届けが数日間続き、ブラスター発生日を含む週(2003年8月12-18日)の合計被害届け件数は、前週に比べ約2倍の1844件に膨れあがった。

 一方、今年8月9-15日の週の合計被害届け件数は1143件。感染被害の多かったウイルスも新種ウイルスではなく、数週間前に発生したウイルスが大半となっている。

 BCNランキングからウイルス対策ソフトの販売本数を見ても、昨年はブラスター発生以降約2週間、前年に比べ3-5倍の販売を記録したが、今年は目立った伸びは記録していない。

 今年の夏休みで特徴的だったことと言えば、ファイル交換ソフト「ウィニー」のユーザーを狙ったウイルス「ヌルポーaス」が発生したことぐらい。「ウィニーは日本語版しかなく、ヌルポースも日本人クラッカーの仕業による日本独自のウイルスという見方が強い」(トレンドマイクロ)という。

 深刻度の高いウィンドウズの脆弱性が7月に発見されたなかでの夏休みだったが、日本発という珍しいウイルスを話題にするぐらいで、システム管理者もゆっくり骨休めができたようだ。
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