店頭流通

トレンドマイクロ パソコンへのバンドル戦略強化 ホワイトボックスにも展開

2004/05/17 18:45

週刊BCN 2004年05月17日vol.1039掲載

 トレンドマイクロ(スティーブ・チャン社長兼CEO)は、コンシューマ向け事業でパソコンへのバンドル展開を強化する。NECや富士通などのメーカー系パソコンへのバンドルを進めていくほか、量販店のホワイトボックスパソコンにもプリインストールしていく方針だ。すでに数社のホワイトボックスメーカーと契約交渉を開始。その第1弾としてヤマダ電機が販売する神代ブランドのパソコンへのバンドルが近く正式決定する見通しだ。

 トレンドマイクロはこれまで、パソコンメーカーへのバンドル展開には積極的ではなかった。現在、メーカー系パソコンの大半には、競合のシマンテックと日本ネットワークアソシエイツ(NAC)の2社のセキュリティソフトだけがバンドルされている状況にある。

 1年間などの期間限定で提供されるセキュリティソフトは、最新のウイルス定義ファイルへの更新が不可欠で、利用期間が過ぎれば更新費用がソフト購入費用とは別に必要になる。このため、セキュリティベンダーは、当初は無料でパソコンメーカーに提供しても、その後、ユーザーが継続利用することでビジネスにつながるメリットがある。30-90日のフル機能の期間限定版をユーザーに無料で提供し、その後の更新で有料ユーザーを獲得するのがバンドルビジネスの狙いだ。

 トレンドマイクロの宍倉豊・営業統括本部リテールパートナーセールスグループディレクターは、「セキュリティソフトは普及してきたとはいえ、利用していないユーザーもまだ多い。これまで店頭販売とウェブサイトからのダウンロード販売を中心にしてきたが、ユーザーの裾野拡大のためには、パソコンにプリインストールした形でお試し版を提供するのも重要なチャネルだと判断した」と、バンドル戦略に力を入れる理由を説明する。

 トレンドマイクロでは、メーカー系パソコンだけでなく、家電量販店やパソコンショップなどが販売するホワイトボックスパソコンにもバンドル展開していく方針。すでに複数のショップと契約交渉を進めている模様だ。

 第1弾として、ヤマダ電機が販売する神代ブランドパソコンへのバンドルが近く決定する見込み。「ウイルスバスター2004インターネットセキュリティ」のフル機能を90日間利用できる期間限定版がプリインストールされた神代パソコンが順次、全国のヤマダ電機の店頭とウェブサイトで販売されることになる。

 セキュリティソフトのパソコンへのバンドルは、これまでメーカー系パソコンが主流となっていた。トレンドマイクロがホワイトボックスパソコンへのバンドルを開始することにより、他のジャンルのソフトベンダーもホワイトボックスパソコンへのバンドル展開を進める可能性も出てくる。
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