全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>23.愛知・名古屋(上)

2004/04/12 18:45

週刊BCN 2004年04月12日vol.1035掲載

 名古屋の情報家電市場に異変が起こりつつある。JR名古屋駅にビックカメラとソフマップが出店。日本3大電気街の1つである大須電気街を訪れるパソコンユーザーが激減する危険性が出てきた。

名古屋駅前と電気街の競争激化

 ビックカメラは、駅西側の太閤通口前に「名古屋駅西店」を2003年11月に出店した。売り場面積は、地下1階から地上6階まで合わせて1万5389平方メートル。同社の札幌店(北海道)、なんば店(大阪府)に次ぐ3番目の広さだ。商品数は約50万アイテム。東海地区では、品揃えと広さともに最大級で、名古屋市場でのシェアを拡大する中核店舗と位置づけている。

 ソフマップは、太閤通口の名古屋駅構内に、「ギガストア名古屋駅ナカ店」を今年3月26日にオープン。売り場面積が約1983平方メートル、イベントスペースなどを含めると約2810平方メートルと、ソフマップにとっては大型店舗で、アイテム数も約10万点に達する。

 ビックカメラは、名古屋駅西店が東海地区で初の出店になる。ソフマップは、昨年1月のナディアパーク店(名古屋市中区)のほかにも市内には子会社化したヤマギワソフトの2店舗があり、名古屋駅ナカ店が4店舗目となる。しかし、これまでの3店舗はソフト専門店。パソコンハードやデジタル家電なども扱う名古屋駅ナカ店は、名古屋での本格展開を担うことになる。

 ビックカメラもソフマップも、いかに地元住民を固定客として確保できるかが重要になってくる。

 ビックカメラは、店舗オープン時から異業種の地元企業をテナント出店させた。従業員約320人のうち約260人を地元で採用するなど、「首都圏と同様のフロア作りに仕上げ、そのなかで従業員とともに名古屋にマッチした店舗を目指す」(行方信介店長)と、地域密着型に力を注いでいる。

 ソフマップは、太閤通口の改札方向から入る正面に、大画面の薄型テレビやDVDレコーダーなど、260平方メートル程度のデジタル家電機器コーナーを設置。「デジタルアドバイザーとして新品、中古品ともに(名古屋地区における)デジタル一番店」(山科光男社長)を目指す。また、中古品の買い取り査定やコンピュータクリニックの待ち時間にラウンジ感覚で活用できるコーナー「ソフマップサロン」を設けた。

 今後は、大須電気街、名古屋駅周辺、郊外という構図により、名古屋市場の競争が一層激化することは確実だ。東京の秋葉原電気街が新宿地区や有楽町地区、大阪の日本橋電気街が梅田地区によって少なからずダメージを受けていることに比べて落ち込みが少ないといわれていた大須電気街が、主導権を維持できるかどうかに注目が集まっている。(佐相彰彦)
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