店頭流通
PCパーツショップ 博多駅ビジネス街に集積
2004/03/29 16:51
週刊BCN 2004年03月29日vol.1033掲載
大型量販店の集客力あてこむ
パソコンパーツ専門店「フェイス」を運営するユニットコムは2000年5月、直営店「フェイス福岡店」を地下鉄空港線天神駅周辺の複合商業施設「ジークス」内にテナント出店(売り場面積約400平方メートル)した。だが、オープンから2年が経過した段階で「賃料が高く、利益増が難しい」(雨池勝義店長)と判断し、02年7月に博多駅から徒歩10分程度にあるビジネスホテル「さらい」の1階に移転。同時に、売り場面積を100平方メートル弱に縮小することでコストを抑えた。今年度(04年3月期)の売上高は前年度比で横ばいとなる3億2000万円弱の見通しだが、「固定費が下がった分、利益は増加する」(同)としている。BTO(注文生産)パソコンメーカーのMCJは、博多駅から徒歩約2分の場所に「福岡ダイレクトショップ」を03年7月に出店した。関東地区や関西地区に比べ顧客数が少ない九州地区のユーザーを増やしていくため、「九州のアンテナショップという位置付け」(野内浩昭店長代理)で顧客開拓に努めている。
ほかにも、博多駅周辺には「パソコン工房博多店」や「ツートップ博多店」、「DOS/Vパライダイス博多店」などが出店している。“ビジネス街”として知られる博多駅周辺が、“パーツ街”として変貌を遂げつつある。パーツショップが集積したことにより、それまで分散していたユーザーが博多駅に集中する状況にある。
99年10月から店舗を構えるアロシステムの「パソコン工房博多店」では、「ここ1、2年で博多駅周辺がパーツ激戦区になった。しかし、売り上げが落ちているわけではない。むしろ、パーツ店が集まったことが、良い相乗効果になっているのではないか」(平田英明・九州ブロック部長)とみている。
「フェイス福岡店」では、1日平均の来店者数が平日で80-90人、土日で250人程度で推移しており、「天神地区で獲得した顧客が来店することに加え、初めてフェイスに来店したというユーザーが増えている」(雨池店長)と移転の効果を挙げる。
MCJでは、「競合店舗と価格を見比べて来店するユーザーが多い」(野内店長代理)と指摘する。
博多駅前では、カメラ量販店のヨドバシカメラが売り場面積2万3000平方メートルの大型店「マルチメディア博多」を02年11月1日に出店したことにより、ビジネスマンを中心に駅周辺でパソコンや周辺機器、家電機器などを購入するユーザーが増えている。
フェイスでは、ビジネスホテルの1階という立地条件も奏効し、「出張で博多を訪れたビジネスマンが来店するようになった」(雨池店長)と強調。MCJでも、店内をショールーム的な作りとし、商談できる場を設けていることで、今年に入ってから顧客の大半が法人となり、「1か月で1000万円前後を売り上げるようになった」(野内店長代理)と話す。
福岡地区では現在、数多くのパソコン専門店、家電量販店が参入し、激しい競争が繰り広げられている。パイの奪い合いにより、売上高が減少したショップもある。だが、専門的な知識を備えることで、量販店との差別化を図っているパーツ専門店にとっては、ショップの集積化と大型店舗の出店が博多駅周辺エリアの集客数アップにつながり、自店の業績にもプラスに作用し始めているようだ。
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