店頭流通

ベスト電器 九州地区の基盤を固める 山口県以東の不採算店の閉鎖も

2004/03/15 18:45

週刊BCN 2004年03月15日vol.1031掲載

 家電量販店のベスト電器(有薗憲一社長)が、知名度の高い九州・沖縄地区に新規出店を集中することを計画するなど、本拠地である九州地区の基盤固めに力を注いでいる。来年2月末までに九州地区以外の店舗を中心に不採算店など32店舗を閉鎖することも明らかにした。このほどパソコン専門店のアプライド(岡義治社長)と業務提携し、アプライド店内に薄型テレビなど家電機器を置く一方、ベスト電器店内でアプライドのオリジナルパソコンを販売する。アプライドは、北九州市にある既存店の「チャチャタウン店」を提携第1号店としてリニューアルオープンした。ベスト電器での店舗展開は今後詰める。アプライドとの提携を販路拡大策の1つとして位置付け、九州地区家電販売トップのポジションを固める。

 福岡地区は、九州地区を本拠地とする家電量販店やパソコン専門店に加え、関東地区のカメラ量販店や郊外型店舗が数多く出店したことにより、最近1-2年で全国でも屈指の激戦区になった。ベスト電器の有薗社長は、「競争が激化しているが、今年に入ってから、売り上げは1月が前年同月の99.4%、2月が前年並みと善戦している」と、福岡市にある既存店の状況について語る。

 本店のベスト電器・福岡店では、「昨年度(2004年2月期)の売り上げが前年度比プラスの見込み」(佐々木誠司副店長)と、旗艦店は順調であるものの、競合店舗の参入で、主導権争いが一段と激しくなっているのが現状だ。

 有薗社長は、「九州地区の基盤を固めていく」と、山口県周南市以西のエリアで新規出店を集中し、知名度の高い九州・沖縄地区での地位を確実にしていく方針に戦略転換する。一方、山口県周南市より東の地域は新規出店を抑制し、来年2月末までに不採算店や重複する店舗の閉鎖を実施。すでに現段階で32店舗の閉鎖を決めた。

 九州地区での主導権争いに打ち勝つための方策の1つとして、同じく福岡県を本拠地とするアプライドとこのほど業務提携した。両社とも販路の拡大が最大の狙いとなる。

 業務提携の第1号店は、北九州市の商業施設「チャチャタウン小倉」内にあるアプライドの既存店舗「チャチャタウン店」。店内でアプライドのオリジナルパソコンを販売することに加え、ベスト電器と協力して液晶テレビなどデジタル家電を販売する店舗として、今年2月21日にリニューアルオープンした。アプライド側は、今後もAV(音響・映像)製品とパソコンを組み合わせた売り場を作っていくという。

 ベスト電器は、パソコン専門店の「コンピュータウン」を出店している。アプライドのオリジナルパソコンは、そこで販売する。アプライド製品は、性能に比べ価格が安いため、顧客ニーズにあったオリジナルパソコンで競合店舗との差別化が図れる。

 提携効果を出した新規出店およびリニューアルの店舗については、「準備はいつでもできている。採算がとれる店舗に仕上げていく」(有薗社長)と、アプライドとの綿密な話し合いで戦略的な店舗作りを早急に詰めていく方針だ。
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