店頭市場ピックアップ

複合プリンタの販売動向

2003/12/22 16:51

週刊BCN 2003年12月22日vol.1020掲載

エプソンが突き放す

シェア56・3%と大躍進

 セイコーエプソンの勢いが止まらない。複合プリンタ市場で、競合2社の日本ヒューレット・パッカード(日本HP)とキヤノンを大きく突き放している。図はBCNランキングの月次データをもとに、複合プリンタのベンダー別台数シェア推移を示した。上位3社の中で最下位に甘んじ続けていたエプソンは、10月に大躍進。これまでトップシェアを堅持していた日本HPに15ポイント以上の差をつけてトップの座についた。11月に入ると、その勢いに拍車がかかり、シェア56・3%を獲得。2位の日本HPとの差を約35ポイントまで広げた。これまで3社間の差が約15ポイント内で推移していただけに、エプソンのシェアは極めて異例の数値といえる。

 エプソン躍進に大きく寄与している製品が、9月に発売され製品別台数でもシェア51・0%を獲得する「カラリオPM-A850」。6色インクタンクの搭載や印刷速度の向上などで、単機能プリンタと同様の印刷性能を実現している。「単機能のプリンタ市場が飽和状態のなかで、写真を切り口にした複合型がユーザーに広く受け入れられた」(エプソン広報)ようだ。また、「プロモーション活動でも、複合型を前面に打ち出した広告展開が奏功している」という。

 複合プリンタ市場は今年、パソコン周辺機器の中でも成長路線を築いた分野の1つ。単機能プリンタ市場が前年比約10%減と縮小傾向にあるなか、複合プリンタは今年1-11月までの月次データでは前年比200-300%増で推移する。単機能プリンタから複合プリンタへのニーズ移行が顕著に現れた今年、エプソンが後半になって、その流れに乗ったといえる。今後も成長が見込まれる分野だけに、来年以降、日本HPとキヤノンはどのような巻き返し戦略を打ち出すだろうか。
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