店頭流通
ヨドバシ VS さくらや “川崎戦争”で火花
2003/11/03 18:45
週刊BCN 2003年11月03日vol.1013掲載
【さくらや】9月、駅前に新店オープン
【ヨドバシ】04年3月、西武跡地に大型店
さくらや川崎駅前店は、京急川崎駅前の大型商業施設「DICE(ダイス)」の地上1-2階部分で、9月12日にオープンした。さくらやにとっては、売り場面積が約5900平方メートルと最大級の店舗。加えて、他業種のショップが軒を並べ、高集客率が期待できる施設の中に店舗を構えたという立地条件を生かす。大西剛副店長は、「60歳以上の高齢者や家族などを中心に顧客を獲得している」と自信をみせる。駅前というメリットを生かし1日平均で平日が6000人、土日で1万1000人程度の客が訪れる。
店内では、車いすが通れるゆったりした通路を確保。「百貨店並みにゆっくりと店内をみてもらう」(大西副店長)ことが狙い。売上全体のそれぞれ30%を占める家電機器、OA(音響・映像)機器を武器に、今年度は100億円弱の売上高を目指す。
一方、98年6月のオープンから川崎地区で牙城を築きつつあったヨドバシカメラマルチメディア京急川崎は、「ビジネスマンやファミリーが来店する」(山野比呂志店長)店舗として、約5600平方メートルの売り場面積を構える。売上全体の40%を占めるパソコンおよび関連機器を主力に、約50万アイテムの商品数を揃える。1日平均の来店者数は、平日で1万5000人強、土日が約3万人で推移。今年度の売上高は、「前年度を上回る」(山野店長)見込みだ。
さくらや川崎駅前店のオープンにより、カメラ量販店2社が京急川崎駅を挟んで直接対決することになった。後発のさくらやは、「順調な滑り出し」(大西副店長)という。対するヨドバシカメラは、さくらやのオープン時に若干客足が減る状況がみられたものの、「売上高は月ベースで前年同月を上回っている」(山野店長)と強調する。
川崎地区は、東京と横浜の中間点という地域特性から「東京・大田区から横浜市鶴見区までが商圏範囲」というのが両店舗で共通する見方だ。ヨドバシカメラとさくらやが本拠地を置く東京・新宿地区より比較的商圏エリアが狭い。そのため、両店舗の顧客層として重なるファミリー層の来店を増やし、どれだけ多くの得意客を確保できるかが勝負の分かれ目になるといえる。
立地の優位性では、JR川崎駅からでも地下ショッピング街「アゼリア」を通って直接来店できるさくらやに分がありそうだ。ヨドバシカメラの山野店長も、マルチメディア京急川崎の来店者数について、「今後は、JR川崎駅からの来店者が減少しないとは言い切れない」と危惧する。
しかし、ヨドバシカメラは来年3月に、JR川崎駅前の複合商業施設「川崎ルフロン」にあった川崎西武百貨店の跡地に、新店舗をオープンする計画でいる。売り場面積は、地下1階から地上4階までの5フロア・約1万4500平方メートルと、ヨドバシカメラ各店の中でもマルチメディア梅田、マルチメディア博多に次ぐ3番目の大型店となる。
川崎地区におけるヨドバシカメラとさくらやの主導権争いが来春以降、一段とヒートアップすることは間違いない。
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