店頭市場ピックアップ

インクジェットプリンタの販売動向

2003/10/20 16:51

週刊BCN 2003年10月20日vol.1011掲載

キヤノンが一時エプソンを逆転

冬商戦は「写真」がキーワード

 インクジェットプリンタ市場で、小差ながらBCNランキングでトップを維持してきたセイコーエプソンのシェアが、8月中旬から9月中旬にかけて、キヤノンに逆転された。9月下旬からは、再びエプソンが50%強のシェアを保ち逆転したものの、10月に入り両社の冬商戦向け新機種が相次ぎ投入され、さらに激しい争いが繰り広げられている。エプソンからトップを奪った8月18-24日の週にキヤノンは、デジタルカメラやデジタルビデオなどからダイレクトプリントが可能な標準規格「ピクトブリッジ」に対応したインクジェットプリンタ2機種を9月上旬に発売すると発表。これに呼応するように、昨年10月発売のベストセラー版で「完全双方向印刷システム」を搭載の「ピクサス 550i」が実売価格の値下がりとともに急激に販売台数を伸ばし、キヤノンがトップに踊り出た。

 トップを奪った週から9月22-28日の週までの5週間は、新機種の販売台数増も加わりキヤノンがトップを維持。しかし、冬商戦向け新機種としてエプソンから、印刷した写真を長時間保存できるインク技術「つよインク」を搭載したインクジェットプリンタ4機種が発売され、9月22-28日の週には再びエプソンがトップに立っている。エプソンは、「年末シェア55%を狙う」と強気の姿勢を示し、店頭プロモーションで他社製品からの「買い替えキャンペーン」や、デジタルカメラとのセット購入による「キャシュバック」を全国約600店舗で展開している。

 猛烈な争いをよそに、エプソンとキヤノン両社のインクジェットプリンタ販売台数は、今年8-10月中旬は前年同週比80-90%とマイナスの状態が続き、その分をレックスマークや日本ヒューレット・パッカード(日本HP)に奪われた格好だ。巻き返しの材料として今年末は、「写真」がキーワードとなっている。キヤノンも冬商戦に向けA4「ピクサス」シリーズを一新。極少インク滴による写真画質を高めた新機種で挑む。「撮った写真を自宅で印刷」、「しかも綺麗に…」を、どうユーザーに印象付けるかが勝敗を分けることになりそうだ。
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