店頭流通

インクジェットプリンタ冬商戦 激しいシェア争い必至

2003/10/06 18:45

週刊BCN 2003年10月06日vol.1009掲載

 インクジェットプリンタの2003年冬商戦が幕を開けた。今年のキーワードは、プリンタとコピー、スキャナ機能を搭載した「複合機」。プリンタメーカー各社は、写真印刷機能を追求したインクジェットプリンタで買い替えユーザーを獲得し、複合機で新規需要の開拓を図っていく戦略。単機能のインクジェットプリンタ市場が成熟化するなか、同市場における複合機の販売台数比率は伸長している(BCNランキング)。今年の冬商戦は、複合機をめぐるシェア争いが大きな焦点になりそうだ。

複合機に各社照準

 複合機市場でトップシェアを維持している日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、冬商戦向けに「HP PSC」シリーズの「2550 photosmart」と「2450 photosmart」、「2310」、「1350」の4機種を10月上旬から順次発売する。同社は、今年の年末商戦で複合機市場がインクジェットプリンタ市場全体の30%を占めるとみている。

 樋口泰行・日本HP社長は、「競合他社よりもラインアップが多いため、広い範囲で潜在需要を掘り起こせる」と強調。複合機市場で「10-12月は45%のシェアは固い」と断言する。

 同市場で2位に甘んじているキヤノンは、「ピクサス」シリーズ「MP370」と「MP360」の2機種を10月10日に販売。冬商戦本番の12月は、「40%以上のシェアを獲得する」(村瀬治男・キヤノン販売社長)と言い切る。

 なかでも「MP370」は月間3万台の販売台数を見込んでおり、「20%以上のシェアを目指す」(芦澤光二・キヤノン販売常務取締役プレジデント)と、重要な製品と位置付ける。拡販については、「デジタルカメラ市場が順調に成長しているので、カメラメーカーとしてのブランド資産を最大限に生かす」(村瀬社長)とし、店頭キャンペーンでは販売の応援人員を昨年の3倍程度に増やす。

 セイコーエプソンは、「カラリオ」シリーズ「PM-A850」を10月17日に発売。印刷した写真の画質を長期保存できる独自のインク技術「つよインク」を搭載した。「本格的な写真印刷に対応した複合機」を武器に、10-12月で55%と強気のシェアを目指す。

 販売にあたっては、「写真の保存性について、瞬発力のあるプロモーションで『つよインク』を訴えていく。一般消費者への普及を促進し、『ホームD.P.E』を広めていく」(真道昌良・エプソン販売社長)としており、「家族をターゲットに、新しい需要を開拓していく」と、全国400店舗で複合機を切り口としたキャンペーンを展開する予定だ。

 インクジェットプリンタ市場は、複合機に限ればまだまだ拡大の余地は大きい。BCNランキングで複合機の前年同月比推移をみると、今年1月が台数ベースで99%増、金額ベースで78%増。8月は台数で227%増、金額で146%増となっている。インクジェットプリンタ市場における複合機の販売台数比率は、1月の11.2%に対し、8月は21.0%に達している。プリンタメーカー各社にとっては、成長が見込まれる複合機を拡販することが、個人向けプリンタビジネスを拡大するカギになる。

 今年8月の時点で、複合機市場における各社のシェアは日本HPが34.6%、キヤノンが27.7%、セイコーエプソンが26.4%となっている。今年1月は、それぞれ41.1%、27.4%、26.7%で、シェアの差は縮まりつつある。今年の冬商戦は、シェア拡大に向けた激しい争いが繰り広げられそうだ。<
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