PCリサイクル直前リポート

<PCリサイクル直前リポート>第3回 ビジネス拡大の動き

2003/09/15 16:51

週刊BCN 2003年09月15日vol.1006掲載

 パソコン専門店や家電量販店の多くが、パソコンリサイクルを切り口に中古ビジネスの拡大を図り始めている。

 9月までに販売されたパソコンは、回収・リサイクル費用が廃棄時徴収だ。デスクトップ本体とノートパソコンは3000円、CRTディスプレイが4000円、液晶モニタが3000円など、各メーカーはリサイクル料金を打ち出している。

 一方、10月以降に販売されるパソコンは販売時徴収となるため、この料金が製品価格に上乗せされるという見方が強い。

 ショップでは、「リサイクル費用が上乗せになれば、当然パソコンの販売価格はアップする」として、実施前に購入したほうが割安感があることを消費者に訴え、パソコン市場にとって販売が比較的落ち着く時期といわれている9月の需要を喚起するとしている。

 さらに、「不要になったパソコンは買い取ります」をキャッチフレーズに、買い替え需要を促進させ、中古ビジネスを伸ばしていく。

 9月に需要を喚起しようとしているのは、価格上昇で消費者の購入意欲が下がる危険性があると、ショップ側が考えているからだ。

 家電リサイクル法施行前の2001年3月には、対象となる冷蔵庫とテレビ、洗濯機、エアコンの4製品が前年を大幅に上回る販売実績を記録した。パソコンリサイクルでも、消費者を煽ることができれば9月の需要が拡大する可能性はまだある。

 一方、パソコンメーカー各社は、駆け込み需要について大きな動きはないとみている。

 メーカーが慎重な姿勢をみせるのは、パソコンの商品サイクルが短いため、10年から15年も使う家電製品とは性格が異なると見ているためだ。しかも、毎年あるわけではないリサイクルによる駆け込み需要の反動で、冬商戦の販売に影響することも避けたい。家電リサイクル法でも、駆け込み需要後は販売が長期間に渡って低迷した。

 もっとも、「駆け込み需要があった場合は迅速に対応する」と、シェアを落とさない体制も整えているところもある。

 東芝はノートパソコン「ダイナブックEX」シリーズを8月29日に発売したほか、NECも9月11日にデスクトップ「バリュースターTX」の2モデルとノート「ラヴィL」の1モデルを出荷開始した。冬商戦向けの新製品を前倒しで市場に投入した形だ。駆け込み需要でショップの来店者数が増えた場合に備え、販売機会を逃さないという思惑もある。(佐相彰彦)
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