PCリサイクル直前リポート
<PCリサイクル直前リポート>第2回 経産省、消費者に周知徹底
2003/09/08 16:51
週刊BCN 2003年09月08日vol.1005掲載
三木健・経済産業省商務情報政策局情報通信機器課環境リサイクル室長は、「周知活動を徹底することが重要だ」と強調する。
「周知活動のポイントは、家電リサイクルとは違うと訴えること。回収方法や実施後のリサイクル費用の徴収方法が変わることなどを消費者に認知させなければならない」と、実施後に消費者が混乱を招く危険性が充分にあると指摘する。
さらに、「各自治体がパソコンリサイクルの回収スキームを認識することが重要」として、自治体向けにJEITAと環境省と共同で全国10か所で説明会を開催した。2000人弱が参加したという。
なかでも、日本市場から撤退した外資系メーカーのパソコンをもつユーザーにとってはリサイクル義務者がいないため、排出方法がはっきりと定まっていないことが懸念材料となっていた。
そのため、東京都内ではJEITAと東京都、区市町村で協議を重ねた結果、東京都内においてJEITAが中心となり、自主的取り組みとして東京都内で回収義務を負うメーカーが存在しない個人向けの使用済パソコンを有償で回収・再資源化を行う。23区や市町村では、「ゴミ」としてパソコンの収集を行わないこととなった。
回収スキームの周知活動では、これまで「ゴミ」として排出されたパソコンをどれだけ回収できるかも重要になる。
ただ、三木室長は「回収率は読めない」と話す。「パソコンリサイクルが実施されることで、企業のビジネスモデルが変革する」とみているからだ。
現に、ショップでは、パソコン排出時にリサイクル費用がかかるため、下取りに出すことを消費者に提案し、中古事業を伸ばすことに力を入れ始めている。「中古パソコン市場の拡大にとっては、“廃棄よりも買い取り”と考える消費者が増えた方がよいが、徐々にそうなるだろう」と見る。
一方、新品パソコンについては、「回収したパソコンの部品が取り外しやすいなど、メーカーがリサイクルに対応した設計を行うのではないか」と分析しており、「将来的には、開発費からリサイクルまでにかかるコストが削減できる」と、リサイクルによる相乗効果を強調する。(佐相彰彦)
- 1