店頭流通
JEITAがパソコンリサイクルで調査報告書 200万台が中古市場へ
2003/07/07 16:51
週刊BCN 2003年07月07日vol.997掲載
回収率向上への取り組みが必要
■01年度は中古市場に約200万台JEITAによれば、99年度から01年度にかけて、使用済パソコンの排出ルート別物量が中古パソコン市場の拡大にともない大きく変化しているという。これは、総排出台数が増えただけでなく、00年度以降、ウィンドウズ95や98搭載のDOS/V機の排出によって中古パソコン市場に流れる量が大幅に増え、中古市場の台数規模が拡大したためだ。
JEITAでは、01年度における使用済みパソコンの流通ルートおよびルート別物量の詳細に検討・推定した(図1)。
01年度は、使用済パソコンの総発生台数が約403万台、そのうち事業系が約357万台、家庭系が約46万台としている。
聞き取り調査によれば、01年度における国内中古パソコン市場の地域割合は、関東地域が50%、関西地域が15%、そのほかの地域が35%。
市場に出回る中古パソコンの70-80%は関東エリアから排出される。これは、インターネットプロバイダやソフトウェア開発などの事業者が関東に集中し、使用済製品の発生数が多いため。
■家庭系中古パソコンは国内市場へ
関東の主要リース品取扱業者に対する聞き取り結果によると、99年度以前は海外にスクラップとして輸出される割合が高く、再販率は35%程度と推測している。一方、01年度はリース品の約70%(約150万台)がオークションや商社から出回るなど、再販が行われているとみている。
事業系購入品では、パソコンメーカーの回収比率が40%(約50万台)、中間処理業者への流通比率が40%(約50万台)、中古市場に流れる比率が20%(約25万台)。中間処理業者への約50万台のうち、中古市場に10万台程度が流れるとしている。
家庭系については、約46万台の発生量のうち、自治体への排出量が約31万台、中古市場に約15万台としている。家庭系購入品から中古市場に入ったものは、比較的年式が新しくグレードが高い機種が中心で、すべて国内市場での販売と推測している。
こうしたことから、01年度における中古市場に流れたパソコンの総量は約200万台と算出している。
■年々増加する中古市場への流入
リース会社への聞き取り調査によれば、中古市場に一旦流れた事業系の使用済パソコンの国内再販台数は約112万台だという。このうち関東で販売される割合が約70%(約78万台)。残りの約30%(34万台)が地方で販売されている。
再販されなかった中古パソコンは、故障や売れ残りなど。これは海外の中古市場やスクラップ市場、国内の中間処理業者に流れており、海外中古市場に約18万台、海外スクラップ市場に約30万台、中間処理業者に約40万台と分析している。
なお、リース品とパソコンメーカー品が中間処理業者に流れる台数は、それぞれ約64万台と約30万台としており、中間処理業者に入ってくる使用済みパソコンの台数は約184万台。この内訳はリース品が約64万台、パソコンメーカー品が約30万台、事業系購入品が約50万台。中古市場から流れた分が約40万台となっている。
この184万台のうち、海外スクラップ市場に輸出される比率は約20%(約37万台)、国内の資源再生業者に排出される台数は約65%(約120万台)、最終処分の排出台数を約17万台としており、残りの約10万台が中古市場に流れると推測している。
中古市場への流量は年々増加しているが、現段階で中古パソコンが再度使用済パソコンとなる割合はきわめて少ないとみている。
その理由として、(1)過去の中古パソコン市場は非常に小規模であり、使用済みとなった中古パソコンのストックが多くない、(2)中古パソコンの購入者は個人が中心で、購入後は長期間にわたり使用している、(3)事業系の購入者における還流分は、数量自体少ないことに加え、中小企業が中古パソコンを購入するケースが多いため、再排出の影響が少ない――などと推察している。
しかし、今後はパソコンの普及や中古市場の拡大にともない、使用済パソコン廃棄時の対策を強化することが必要だとしている。
01年4月に施行した「資源有効利用促進法」で、事業系パソコンが「指定再資源化製品」になり、パソコンメーカーに対し、使用済パソコンの回収・再資源化の義務づけられた。家庭パソコンについても、今年10月1日からリサイクル制度が実施となる。
JEITAでは、郵政公社と提携して回収・再資源化システムを構築し、積極的に準備を進めている。一般消費者への充分な周知を徹底するなど、使用済パソコンの回収率を向上することに力を入れていく構えだ。
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