店頭流通

トレンドマイクロ ウイルスバスター更新用ソフトの店頭販売を検討

2003/06/16 18:45

週刊BCN 2003年06月16日vol.994掲載

 トレンドマイクロ(スティーブ・チャン社長兼CEO)は、ウイルス対策ソフト「ウイルスバスター」の有効期限の更新ニーズを高めるため、更新用ソフトをパッケージ化し、店頭で販売することを検討開始した。更新用パッケージの店頭販売は、同業界では初の試み。従来はオンラインによるダウンロード販売のみだったが、店頭での購入ニーズも少なくないとみて、今後具体策を詰めていく。このほか、例年にはない低価格での値下げキャンペーンの実施や、店員の販売支援や接客などを行う“店頭強化部隊”の新設など、コンシューマ向け戦略を強化していく。

コンシューマ向け戦略を強化

 これまで「ウイルスバスター」の更新方法は、1年間の有効期限が過ぎた時に更新費用3000円を支払えば、再度1年間、定義ファイルやスキャンエンジンの更新ファイル、新バージョンへのアップグレードファイルのダウンロードをオンラインで行える仕組みを取っていた。現在の更新方法はオンラインでのダウンロードのみで、ユーザーの代金支払い方法は電子決済が主流という。

 この更新をオンラインだけでなく、更新専用のパッケージ製品を新たに用意し、店頭販売することを検討している。箕浦幸雄・第二営業本部長は、「具体的な話は今後詰めていかなければならないが、年内には提供できるようにしたい」と語る。

 同社のユーザーアンケートによると、購入者の約13%が更新版のパッケージ製品が店頭にあれば、オンラインではなく店頭で購入すると答えているという。

 箕浦本部長は、「この数字はまだ小さいが、今後増えていくと捉えている。当社製品のユーザーは初心者も多く、電子決済に抵抗があるユーザーも少なくないはず。コスト増加を考えても店頭で展開するメリットは十分ある」と話す。

 また、「店頭展開することによって、販売店のメリットも出てくる。販売店との関係強化という点でも大きな意味を持つ」と強調する。

 箕浦本部長は、更新比率の向上を今後の“至上命題”としており、新規ユーザーの獲得とともに、更新比率向上策を積極的に打ち出していく方針だ。

 店頭での販売強化策としては、東京、大阪、名古屋地区のショップを中心に、店員の販売支援や接客などを行う約30人体制の“店頭強化部隊”を組織した。

 「ウイルスバスター」シリーズは、ダウンロード販売と店頭パッケージ販売の両面で展開しているが、店頭でのパッケージ販売が、総販売本数の約85%を占めているという。

 箕浦本部長は、「コンシューマ向け事業は、エンドユーザーに接する機会を持たなければ成功はない。地味な取り組みだが、今後も続けていく」としており、「販売店とのリレーション作りにも重要な役割を果たす」と、販売店との関係強化を強調する。

 今月下旬から、3900円に価格を下げた「優待版」を15万本限定で販売するキャンペーンも開始する。昨年11月に発売した現バージョン「ウイルスバスター2003 リアルセキュリティ」の目標数値150万本は、「このキャンペーンで達成できる」(箕浦本部長)と見ている。
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