店頭流通

家電量販店9社の決算 ベスト、上新が黒字転換 ケーズは2ケタの増収益に

2003/06/09 16:51

週刊BCN 2003年06月09日vol.993掲載

 2002年度の家電量販店9社の連結業績が出そろった。需要の低迷で売上高が伸び悩むなか、各社とも販売管理費の圧縮で利益確保に取り組むものの、圧縮幅の大小で明暗を分ける結果となった。03年度も、売上構成比率が比較的高いパソコンの販売不振が依然続くのではと懸念されており、売上拡大で利益の確保につなげることが難しい状況にある。本業ビジネスである小売業で利益を確保するためには、さらにどれだけ販管費を削減できるかにかかっているといえそうだ。

 02年度の連結決算で、ベスト電器と上新電機は売上高が前年度に及ばなかったものの、営業損益で黒字に転換した。

 ベスト電器は、売上高が前年度比3.8%減の3545億8700万円にとどまったが、営業損益が34億3100万円の黒字(前年度は10億2600万円の赤字)となった。

 上新電機も、売上高が同5.9%減の2238億9200万円に対し、営業損益は11億1900万円の黒字(同43億8900万円の赤字)だった。

 両社とも、販売費および一般管理費を削減したことが営業黒字に結びついた。上新電機の販管費は、前年度比12.9%減の407億9900万円。これにより、売上高に対する販管費の構成比率は01年度の19.6%に対し、02年度は18.2%と1.4ポイント低下した。

 ベスト電器の販管費は、前年度比2.2%減の662億200万円。売上高に対する構成比率は、01年度の18.4%に対し、02年度が18.7%と0.3ポイント増えたが、売上原価を01年度の3020億円から02年度は2849億5400万円へと、約170億円圧縮した結果、営業損益で黒字転換を果たした。

 ケーズデンキは、売上高が前年度比14.0%増の1949億3600万円と伸び、営業利益も同22.7%増の29億1600万円と、2ケタの増収増益となった。販管費に関しては同2.5%増の202億8400万円だったものの、売上高の拡大に加え、販管費比率も01年度の11.6%から02年度は10.4%と1.2ポイント減らしたことで、営業利益を伸ばした。

 デンコードーは、売上高が前年度比1.6%増の1221億8800万円と増えたが、営業利益が同7.0%減の18億6000万円にとどまった。販管費は、同1.8%増の204億6300万円だった。

 売上原価率が0.1ポイント増えたうえ、販管費比率も、01年度に16.7%だったのが02年度は16.8%と0.1ポイント増加し、営業利益の減少につながった。

 ラオックスは、売上高が前年度比6.6%減の1678億7100万円、営業損失が30億4100万円(前年度は23億5300万円の営業損失)と赤字幅が拡大した。販管費を同3.1%減の358億5100万円と圧縮に努めたものの、売上高の減少により、販管費比率が01年度の20.6%に対し、02年度は21.3%と0.7ポイント増えたことで、営業損失幅を広げる結果となった。

 コジマは、売上高が前年度比1.5%増の5034億5800万円と拡大したものの、営業損失が59億2600万円(前年度は48億9900万円の営業損失)と、赤字脱却を図れなかった。販管費が同3.3%増の862億6200万円となり、01年度の販管費比率が16.8%だったのに対し、02年度は17.1%と0.3ポイント増えたのが響いた。

 一方、最大手のヤマダ電機は、今回の決算から初めて連結業績の公表を始めた。売上高は7938億2900万円と、8000億円に迫る。営業利益は27億1500万円。販管費は1438億3600万円で、売上高の18.1%を占める。

 製品別の売上構成比は、各量販店ともパソコン本体の売上比率が高い。パソコン市場の低迷が続くなか、売上高を大幅に伸ばすことは難しい状況でもある。そんななか、販管費をいかに圧縮し利益確保につなげるかが、今年度も引き続きの課題となっている。
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