店頭流通
“11g戦争”、勃発の兆し 動き出した無線LANの新規格
2003/03/03 16:51
週刊BCN 2003年03月03日vol.980掲載
各社、「IEEE802.11g」対応製品を投入
■実効速度20メガビット以上の速さ実効速度が5メガビット前後と遅いIEEE802.11bに代わり、実効速度20メガビット以上の速さを謳う高速規格11gの製品が、各社から間もなく出揃う。
まず先陣を切ったのは、無線LAN事業に傾注するメルコだ。 1月下旬から11g製品を投入した後、主力の無線ルータと無線カードのセットモデル「WBR-G54/P」(実売価格約2万7000円)が、台数シェア6.9%、金額シェア13.3%を獲り、機種別ランキングで2位に食い込んだ(BCNランキング2月17-23日の週次統計)。
1位で台数シェア10.5%、金額シェア14.3%を占める11b規格の同等セット製品「WBR-B11/GP」(同1万9100円)に比べて、台数では少ないものの、金額ではほぼ肩を並べる。
メルコは無線LAN分野全体で台数、金額ともに6割近いシェアで、金額ベースでも前年に比べ3割以上伸ばす。
メルコの斉木邦明専務取締役は、「今年は11gで勝負をかける。もともと伸びることがわかっている市場なので、いくら伸びても驚きはない」と自信を示す。
■コンボ無線が主戦場に
だが、他社の猛追は、これからが本番だ。コレガの石津清樹常務は、「今年の夏商戦までに11aと11gを合体させたコンボ無線を、現行の11gの2倍以内の価格で出す。今は11gが注目を集めているが、今年後半はコンボ無線が標準になる。また、当社の11gの実効速度は22メガビット以上で、業界最速を目指す」と、コンボと実効速度で勝負をかける。
コレガは、2月から無線機器の新しいブランド「むせんくん」を立ち上げた。石津常務が自ら考え出したブランディングで、ネットワーク機器のコモディティ(日用品)化を狙った。今後、ルータには「るーたーくん」、ハブには「マイドットハブ」などの愛称をつける。「携帯電話の着せ替え機能のように、アクリル板を取り替え、外観デザインを変更できるようにする」などの差別化を図る。
プラネックスコミュニケーションズの久保田克昭社長は、「無線LAN市場で勝つには、11gや11agコンボの高性能チップを、他社よりいかに早く手に入れるかがポイント」と、チップ争奪戦に神経を尖らせる。
過去にルータの実効速度を巡り、メルコとコレガ、プラネックスが激しい論争を展開した経緯がある。当時は、実効速度の測定基準の是非でもめたが、今回の無線でも測定基準で一悶着起きる気配がある。価格と機能、速度を武器に、各社とも一歩も譲らない11gの激しいシェア争いが今、始まろうとしている。
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