店頭流通
デル、フロッピードライブを標準装備から外す
2003/03/03 18:45
週刊BCN 2003年03月03日vol.980掲載
発注時のみ搭載へ
フロッピードライブを標準装備から外すのは、デルが最初ではない。5年前、既にアップルが「iMac」でこれを実施している。当時はまだフロッピーの世界需要が年間50億枚というピークを迎えた1997年の翌年だった。「なぜ?」という反応が圧倒的で、同社は手痛い批判を浴びた。だが今回は、業界も社会も「いよいよか」との受け止め方だ。サンノゼ・マーキュリー紙は「フロッピーの死」と題する特集記事を組み、往年の8ミリビデオに現在のフロッピーをたとえ、その変遷を振り返っている。「フロッピーのことは忘れない」と追悼扱いだ。
フロッピーは71年、IBMが作った“Minnow”が初代。0.08MBという、今から思えば古生物のような代物だ。77年2月に初めて市販化された8インチ型ドライブは時価750ドル。今ならこの値段でコンピュータ1台が買える。
そんな“高値の花”が市販化され普及したのは、81年8月にIBMがパソコンを販売開始して以降だ。この同じ年、ソニーは今のサイズの3.5インチまでフロッピーの小型化に成功している。
現在、フロッピーは容量1.4MBで1枚20-50セント。一昔前まではファイルは全て、このフロッピーとZipディスク(100-250MB)で事足りた。しかしここ数年はこのZipでも収まり切れないファイルが増えている。
音声や画像など大容量ファイルの増加にともない、書き込み可能なCD-R(最大700MB)は1枚30-50セントまで値が落ちた。映像保存用にはDVD-R(5-10ドル)もあり、これだと容量はもう新境地のギガ、4.7GBである。もっともDVD-Rはファイル変換方式が未統一であり、録画可能なプレイヤーが350ドル以上もするため普及は進んでいないのが現状だ。
もちろん、フロッピーやZipならではの強みもある。上書きと消去ができる点がそれだ。CD-RやDVD-Rは一度書き込んだら書き直しはできないし、傷がついたら一巻の終わり。「何度も上書きして御用済みファイルは消して」といったタフな使用には向いていない。
自社製品を過渡期のヒットで終わらせたくないZip製造元のアイオメガは昨年、CD-Rより大きい最大750MBのZipディスクを出し、さらにUSB対応型キーチェイン・ドライブ(50-450ドル、32-512MB)を発表した。一方、巷では主役の隙間を埋めるべく新興企業が続々名乗りを挙げ、大容量小型ディスクのセキュリティを強化した指紋とパスワード認証機能などを各種開発中だ。
パソコンの草創期から現在まで生き残ってきたフロッピーにも、そろそろ引き際がきたようだ。 (市村佐登美)
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