店頭流通

コンシューマ系ウイルス対策ソフト セキュリティ意識薄れ売上鈍化

2003/02/24 17:00

週刊BCN 2003年02月24日vol.979掲載

 コンシューマ系ウイルス対策ソフトの売れ行きが前年に比べ鈍い。BCNランキングの月次データでは、本数・金額ベースともに大幅な前年割れだ。

“非先進ユーザー”の需要喚起を

 最近3か月の市場全体の前年比推移をみると、2002年11月が本数78%、金額76%、02年12月が本数44%、金額が42%、03年1月が本数63%、金額61%と減少傾向になっている。

 セキュリティソフト大手のシマンテック、トレンドマイクロの両社は、この原因について、「01年暮れから02年初頭にかけて蔓延したウイルス『バッドトランス』の被害が拡大していた影響で、一般消費者のセキュリティ意識は急速に高まった。ウイルスのアウトブレイクとともに、大爆発というほどの勢いで需要が伸びた。現状とは比較できない異常な状態にあった」と分析する。

 実際、情報処理振興事業協会(IPA)がまとめたウイルス届出状況によると、01年は2万4261件、02年は2万352件で、11月と12月に関していえば、02年は01年に比べ2分の1から3分の1にまで被害届が大幅に減少している。

 「被害を受けなければ買わない」とセキュリティベンダーが常々口を揃える理由が裏付けられる。

 店頭関係者は、「単純に山積みにしていただけでも、どんどん売れていた頃とはユーザーの反応が違う。ウイルスが発生すれば短期的には売れるだろうが、中・長期的にみて、初心者ユーザーなどの“非先進ユーザー”の需要喚起が課題だ」と話す。

 先日、世界規模で蔓延したウイルス「Slammer(スラマー)ワーム」の被害は、パッチ忘れ、つまりウイルス対策を怠ったことが主な要因だ。被害を受けたのはデータベースサーバーとあって、「一般消費者の反応は鈍い」(シマンテック)という。

 「Slammerワーム」の被害が残した“意識不足、対策不足”という教訓を生かし、何も取り組んでいないユーザーに重要性を訴求し、ウイルス発生以前に購買意欲をかき立てるような市場作りが課題であろう。
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