店頭流通

パソコンの低価格化進む

2003/02/10 16:51

週刊BCN 2003年02月10日vol.977掲載

 パソコン販売の厳しい状況が続くなか、最近ではショップブランドのオリジナルモデルが好調だというパソコン専門店や量販店が多い。オリジナルパソコンは、比較的低価格で値頃感があるという理由で人気が高く、購入者のニーズに合わせたパソコンを提案できるというメリットをもつ。メーカー製パソコンと比べて粗利率が高いのも事実だ。そのため、オリジナルパソコンの売上規模はまだ小さいものの、今後増えていく可能性が高い。流通各社も拡販に乗り出している。 (佐相彰彦●取材/文)

市場拡大に良いことか?

 オリジナルパソコンが好調な売れ行きをみせている一方で、メーカー各社は、今年度(2003年3月期)のパソコン出荷見通しの下方修正を始めた。ソニーは、VAIO(バイオ)の出荷台数を期首目標である国内年間180万台の見通しから3割程度少ない130万台に下方修正した。世界市場についても、期首目標の年間440万台(うち海外は260万台)に対し、310万台(同180万台)にとどまる見通し。

 出荷台数の減少が影響し、今年度第3四半期(02年10―12月)におけるエレクトロニクス分野の「情報・通信」は、売上高が前年同期比18・2%減の2517億円、営業損益は52億円の赤字(前年同期は70億円の黒字)となった。徳中暉久副社長兼CFOは、「パソコン市場の急激な低価格化が、出荷台数の減少に大きく影響している。バイオの収益が非常に厳しい状況にあるのは事実だ。今後はバイオのコンセプトをユーザーに正しく理解してもらうことが重要となる」と強調。

 昨年秋に掲げた「バイオとAV(音響・映像)機器との連携をさらに強化する」というコンセプトを一層訴求することで、新しい市場を創出することに意欲を示す。

 NECでも、パソコンの販売が不振で、「営業利益はほとんどゼロに近い」(松本滋夫専務)状況にある。同社の今年度第3四半期は、国内出荷台数が56万台で、9か月累計(02年4―12月)は185万台となった。そのため、通期目標をこれまでの280万台(前期比横ばい)から、5%程度少ない265万台に下方修正している。

 東芝では、今年度第3四半期におけるノートパソコンの出荷台数が、前年同期比36%増と大きく伸びた。このおかげで、通期でも期首の目標である年間380万台を何とかクリアし、黒字をキープできる見通しだが、この1―3月に限れば「売価ダウンが激しく、厳しい状況」(島上清明副社長)にあり、難しい価格戦略を強いられている模様だ。ここにきて、ソニーやNECが出荷見通しを相次ぎ下方修正するなど、メーカーが苦戦を余儀なくされているのは、オリジナルパソコンが少なからず影響している。

 オリジナルパソコン市場について、ソフマップの山科光男社長は、「今後も伸びるといえるが、オリジナルパソコンを含む価格の安いパソコンにより、低価格化の波がこのまま続くことは果たして良いことなのか」と疑問を投げかける。この理由については、「現在のパソコン市場は、付加価値を追及して価格を上げる傾向と、オリジナルパソコンで価格を下げるといった傾向に二極化しつつある。実際に人気が高いのは、低価格パソコンであるのは否めない。しかし、パソコンの価格が5万円などといった低価格が定着するのは、今後の市場規模に影響を与える可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。
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