店頭流通

ソニーが4冠を達成! 最多部門受賞はメルコに

2003/01/20 16:51

週刊BCN 2003年01月20日vol.974掲載

 ソニーが4冠を達成――。BCN AWARD 2003の集計が1月17日にまとまり、激戦が繰り広げられた2002年のIT店頭市場の全容が明らかになった。シェアを伸ばした代表格は、ソニーとメルコだ。ソニーは、デスクトップPC、ノートPC、携帯情報端末(PDA)、デジタルカメラの4部門でトップを獲得。メルコは前回より3部門多い計11部門でトップを獲った。最後までソニーに食い下がり、抜きつ抜かれつの接戦を演じたNECは、デスクトップPC首位の座をソニーに譲った。BCN AWARDは、全国有力パソコン販売店16社733店舗のPOSデータを集計し、年間のトップシェア企業に賞を贈るもので、今年で4回目を数える。(安藤章司●取材/文)

BCN AWARD 2003 決定

■パソコンでソニーが首位に

 「BCN AWARD 2003では、3冠を達成する!」。昨年、BCN AWARD 2002の表彰式で、ソニーマーケティングの渡邊敏夫・執行役員常務がアドリブで宣言した言葉だ。驚きを隠しきれなかったのは、ソニーマーケティングの社員たち。「おい、渡邊さんの宣言を聞いたか?」。「オレ、聞いてないぞ」。「でも、宣言したからには負けるわけにはいかない」。バイオ(VAIO)担当の社員たちは、色めきたった。

 02年の結果を見ると、デスクトップのシェアは、NECが22.5%なのに対し、ソニーが25.2%と、2.7ポイントの差でトップシェアを獲得。ノート、PDA、デジタルカメラと合わせて念願の3冠の目標を上回る4冠を達成した。パソコン本体の販売台数が、前年比でデスクトップが72%、ノートが85%と厳しい市場環境のなか、ソニーマーケティングは、昨年春先に名古屋でバイオロゴが輝く大型トラックや飛行船を飛ばし、夏の暑いさなかに地道なバイオフェアを開いて、渡邊常務の「宣言」の実現に精を出した。

 ソニーマーケティングの福島秀樹・統括部長は、「地域の販売店で開く小規模な『バイオフェア』は“点”のようなもの。1つひとつは小さいが、これらの点を、飛行船やトラック、電車の中吊りで結び合わせると、地域全体での購買意欲が高まる」と、地道な販促活動こそがシェア獲得に欠かせないと話す。「シェアはカネで獲るのではなく、足と汗と知恵で獲るものだ」と言わんばかりだ。

 だが、本来ソニーが強いノートにも関わらず、前回ほどの勢いはなくなった。今回のソニーのノートシェアは25.4%で、前回の28.7%より3.3ポイント減少した。PDAはBCN AWARD 2002で首位に立ち、今年で2年連続となるものの、競合他社がソニー・クリエを倒すだけの商材を揃えられなかった「不戦勝」の感もある。

■激戦のデジタルカメラ市場

 デジタルカメラはソニーが、BCN AWARD 2003で新たにトップシェアを獲った部門だ。強豪のキヤノン、富士写真フイルムを下して、0.1ポイントという僅差での首位。デジカメは、ソニー16.7%、キヤノン16.6%、富士フイルム15.5%だった。これだけの接戦だと、今年もデジカメ部門はどこがトップを獲るか、まったく予測がつかない。

 周辺機器では、メルコの寡占化戦略が進む。前回より3部門増えて11部門でトップシェアを獲った。斉木邦明専務は、「競合ベンダーがどこを攻めてくるかを見極め、経営資源を集中して戦略的に迎え撃つ。競合他社の財務や在庫などを徹底的に研究している。たとえるなら2匹の蛇が互いの尻尾に食らいついているようなもの。先に飲み下したほうが、致命傷を得ずに済む」と、攻めの姿勢を貫く。

 今年は、昨年よりも、さらに厳しくなる――。ベンダー各社の一致した見方だ。しかし、記録型DVDや外付けハードディスクなど、ブロードバンドの普及にともなうストレージ(記憶装置)やデジカメ、無線LANなど、堅調に伸びる分野は必ずある。縮小する市場に足をすくわれるのではなく、伸びる市場を、どう捉えるかが焦点となる。
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