店頭流通

日本メーカーに吹くパソコン家電の“神風”

2003/01/06 16:51

週刊BCN 2003年01月06日vol.972掲載

 年明け早々に米国で開催される家電見本市「インターナショナル・コンシューマー・エレクトリック・ショー(CES)」は、パソコン見本市「コムデックス」を超える規模になる模様。パソコン業界にとって家電市場が主戦場になったからだ。これは米パソコン業界と日本の家電業界との競争の構図でもある。

北米の見本市で新機軸続々

■CESが北米最大の見本市に

 主催者の発表によると、米ラスベガスで1月9-12日まで開催される2003年CESには、世界から約2000社が出展する。

 展示総面積は同見本市史上最大の120万平方フィートとなり、「北米最大の技術見本市」(主催者)になる模様だ。

 講演者の顔ぶれもソニーの安藤国威社長、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長、デルコンピュータのマイケル・デル社長、インテルのクレイグ・バレット最高経営責任者など、IT業界の大物が揃う。

 インターネット上には、CESで発表される製品の情報や憶測が既に多く流れている。 それによると、ソニーは256MB、512MB、1GBのメモリースティックを発表する予定だ。

 三洋電機はワイヤレステレビの試作品を展示する。ワイヤレスなのでテレビを家中持ち歩いても、衛星放送やCATV放送まで見ることができる。

 また、ハードディスク搭載セットトップボックス(STB)メーカーのティーボは、音楽や写真のデジタルデータも取り扱うことができるSTBを発表するといわれている。

■家電市場を狙う米パソコン業界

 CESがここまで大きな見本市になったのは、パソコン業界が家電市場を主な戦略的市場と捉え始めたからだ。

 例えば、マイクロソフトでさえ、目標を「すべての机にパソコンを」から「すべての家庭にパソコンを」に切り替えている。

 同社が家電市場切り崩しの最大の武器と位置づけるのが家庭向けソフト「メディアセンター」。 パソコンにAV家電の司令塔の役割を果たすソフトだが、CESでは同ソフトに関する大々的な発表や展示が行われる見通し。

 世界一の家電大国である日本のメーカーは、マイクロソフトに攻め入られる格好で、現在日本メーカーで「メディアセンター」の搭載計画をもつのはNECだけ。

 そのほかの有力メーカーは、自社技術を搭載したパソコンやホームサーバーなどに「司令塔」の役割をもたせる考え。

 「消費者のきめ細かなニーズの把握は、家電メーカーの方が得意」(某日本メーカー幹部)と、あくまでもマイクロソフトに対抗する構えだが、「基本技術はすべてパソコン技術。米国の方が有利」という見方もある。果たしてどちらが勝利するのだろうか。(湯川鶴章)
  • 1