店頭流通
<ショップの盗難防止事情>1 取り組み遅れる販売店
2003/01/06 16:51
週刊BCN 2003年01月06日vol.972掲載
NEBAによると、01年で最も盗難の被害額が多かった商品は、パソコン本体で全盗難商品の32.23%を占める。次いでビデオカメラが26.59%、パソコン周辺機器が8.56%、デジタルカメラが7.87%、ポータブルオーディオが3.33%と続く。換金目的で高額な商品の被害が比較的多い。このことが被害額増加の要因になっている。
NEBAでは、高千穂交易、チェックポイントシステムジャパン、松尾産業、エスキューブなど、大手セキュリティメーカー4社の盗難防止製品を加盟店に斡旋している。だが、その取り組みとは裏腹に、被害状況は相変わらず深刻だ。
NEBA事務局の小林氏は、「02年に入っても被害状況は変わらないと嘆くショップが多い。さまざまな防犯対策を施しても、次々と新しい盗難の手口が出てきて被害にあってしまうのが現状だ」と話す。
米国では、「ソースタギング」により、大手家電量販店をはじめ、ホームセンターなどの被害額が大幅に減少している。「ソースタギング」とは、商品の製造段階で防犯タグをパッケージの内側に装着するか、商品自体に防犯タグを内蔵させる。これによって、万引防止装置を設置している店舗で効果的な盗難防止対策をとることができる。2500社以上のメーカーが採用している。
小林氏は、「メーカー数社にソースタギングの導入を要請したが、反応が悪かった」と肩を落とす。メーカーが難色を示すのは、ソースタギング対応の万引防止装置を設置している店舗が少ないことが最大の要因だ。
NEBA加盟店におけるソースタギング対応万引防止装置の普及率は約30%程度。確かに、この状態でソースタギングを実装しても効果が薄い。
米国では、万引防止装置がない店舗で購入した商品を、万引防止装置設置店に持ち込んだところ、ブザーが鳴ってしまったという事態が頻発したのも事実だ。
また、日本でソースタギングが根付かない理由として、「日本の万引防止装置の1メートル80センチという幅に反応するICチップがない。ICチップの開発段階から『盗難防止』のコンセプトを盛り込むことが重要だ」と強調する。
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