店頭流通

パソコンの年末商戦 テレビやDVD搭載機に人気

2002/12/02 16:51

週刊BCN 2002年12月02日vol.968掲載

 パソコンメーカーの新製品が出揃い、年末商戦が本番を迎えた。今年は、タブレットPCをはじめとする個性的なモデルが目立つ。ショップでは、「パソコン以外の付加機能を求める消費者が多く、テレビ機能付きモデルやCD-RWと記録型DVDのマルチタイプなどが、以前にも増して人気を集めている」という。目新しい機能ではないが、消費者にとっては魅力的に映るようだ。従来ならスペックに関心が集まったが、裾野の拡がりとともに具体的な用途提案に目が向く。「パソコンで何ができるか」。そんな提案型販売が、この年末商戦ではますます重要度を増している。

提案型販売が売上アップへのカギに

 図は、BCNランキングによるパソコン販売台数指数の推移を示した。図でも分かるように、パソコンメーカー各社による年末商戦向け新製品の投入で、パソコンの販売台数指数が徐々に増加している。11月で各メーカーの新製品が出揃った。

 今年の年末商戦に向けた製品は、タブレットPCの登場をはじめ、デスクトップ型の液晶一体型モデルなどが増えたことで、デザイン面や機能面などで個性的な製品が多いのが目立つ。これら製品群をいかに実売につなげるかがカギとなる。

 店頭の最前線を追ってみると、タブレットPCに関してはショップ関係者の声は厳しい。「実際に試してみたいと来店する消費者は多いが、販売台数が伸びているわけではない」。そんな声が多い。年内はパソコンマニアが購入するにとどまり、「来年以降から徐々に実売に結びついていくのではないか」と成り行きを見守る。

 液晶一体型については、「デザイン面や省スペースにこだわる買い替え需要層が購入するケースが多い」という。BCNランキングでデスクトップの販売台数に占める割合をみると、9月30-10月6日の週次集計で17.8%だったのが、11月18-24日で18.9%となった。

 現在、ショップで売れ筋となっているのは、テレビ機能付きモデルやCD-RWと記録型DVDのマルチタイプ。理由については、「消費者がパソコン本来の用途に加え、他の目的でも活用したいというニーズを求めている。そのなかで、まず思い浮かぶのがテレビ機能」だという。「モデルが充実したことで、画質や音質、ブランドなどのニーズに対応でき、販売しやすくなった」と強調するショップもある。

 BCNランキングによると、テレビ機能付きの販売構成比率は、9月30-10月6日がデスクトップで全体の30.7%、ノートで1.7%だったのが、11月18-24日にはデスクトップで44.8%、ノートで3.8%に達した。ショップでは、「デスクトップの販売比率がノートよりも低い傾向にあったが、テレビ機能付きモデルにより、デスクトップの販売台数を増やす要因にもつながった」との声もある。

 CD-RWと記録型DVDのマルチタイプについては、「パソコンに慣れてきたビジネスマンなどが買い替え用に購入するケースが多く、映像をDVDに記録しておこうとのニーズが次第に高まっている」という。

 BCNランキングでは、CD-RWと記録型DVDのマルチタイプは、9月30-10月6日がデスクトップで17.8%、ノートで1.2%だったのに対し、11月18-24日がデスクトップで26.1%、ノートで4.0%という結果となっている。

 テレビ機能付きやマルチタイプを拡販していくうえで、ショップが注力することは、「このパソコンで何ができるかを提案すること」(東京・秋葉原のショップ関係者)という。「テレビ機能や記録型DVDなどは、パソコンのスペックを説明するだけでは、消費者の購入意欲を刺激しない」からだ。

 今年の年末商戦は、メーカー、ショップともに「良くて前年並み」という見方が多い。パソコン市場は依然として厳しい状況にある。 そんななか、ショップとしては提案型販売の力量差が一層問われてくることになりそうだ。
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