店頭流通
“新”周辺機器市場が急発進
2002/10/21 16:51
週刊BCN 2002年10月21日vol.962掲載
デジカメ、携帯、プリンタを直接接続でパソコン中抜き
パソコンを介さずデジタルカメラのデータを印刷できるプリンタは、すでに1990年代の後半から発売されていた。しかし、メモリカードを読み込むなどの方法であるため、初心者ユーザーにとっては煩雑な印象もあった。現在、USB2.0の拡張規格として、デジカメ、プリンタ、携帯電話、PDA(携帯情報端末)などにダイレクト接続できる規格「USB On-The-Go(OTG)」が策定中で、ブルートゥースとともに、ほぼ接続技術のデファクトスタンダード(事実上の業界標準)となる見通しが立ってきた。
メーカー側としても、「接続が容易なことから、やはりUSBがパソコンを介さない、デバイス同士を接続する本命技術となるだろう。ダイレクト接続により、プリンタ、デジカメ、スキャナといった製品を、グラフィックス系機器として一堂に展示、販売できることになり、ビジネスには大きなプラス」(芦澤光二・キヤノン販売取締役電子機器販売事業部長)と、この傾向を歓迎している。
今年の新製品では、セイコーエプソンが従来からあるメモリ挿入による印刷だけでなく、USBによる接続を実現する製品を発売。プリンタとデジカメという組み合わせだけでなく、プリンタやデジカメにCD-R、MOなど、ストレージがパソコンを介さずに直接接続できる。
プリンタ、デジカメ以外にも、携帯電話、PDAについても周辺機器ビジネスの活発化が見込まれている。特に携帯電話は、従来から第3世代(3G)製品については、「ハードベンダー側から、USBとブルートゥースの搭載が必須という声が挙がっている」(高橋恒雄・インテル取締役通信事業本部長)というが、第2世代の製品でもカメラ付き携帯電話ではストレージへのデータ吐き出し、プリンタ接続といったニーズがあり、十分に周辺機器ビジネスが成り立つベースが整った。
周辺機器ベンダーとしては、新たなマーケットが開拓されたことで、大きなビジネスチャンスが期待できる。プリンタメーカーが今年度の商戦で、デジカメとのダイレクト接続を大きくアピールしているのも、パソコン用プリンタ市場の飽和をダイレクト接続市場で補うことが狙い。
インクジェットプリンタ市場は、01年国内マーケットで600万台の規模とされているが、個人向けパソコン市場が伸び悩んでいることもあって、大幅な成長は厳しい。そこで、パソコンを利用せずデジカメを楽しむ層に向けた製品によって、市場拡大を見込む。
今後さらに、携帯電話、PDAへの接続が実現すれば、一段と市場規模は膨らむ。周辺機器ベンダーにとっては、パソコンの出荷動向に左右されずに、マーケット拡大を見込むことができる。
販売店にとっても、パソコン販売で得た周辺機器の販売ノウハウを活かすチャンスとなる。商品が本格的に登場するのはこれからとなるが、パソコン以外の周辺機器についても積極的にビジネスとして捉える必要がありそうだ。
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