店頭流通
店頭イベントを見直す マニアには大きな成果
2002/09/16 16:51
週刊BCN 2002年09月16日vol.957掲載
ソフマップの山科社長は、ユーザーが行列をつくってカウントダウンに参加したことに、「パソコン本体は、夏モデルで価格が値上がりし、しかも斬新な商品が出てきてないこともあって、なかなか思ったように売れ行きが伸びない。それを考えると、Mac OS X発売イベントでお客さんが店に足を運んでくれたことはうれしい限り」と満足そうな様子を見せた。
このMac OS X v10.2の発売イベントを、1995年のWindows 95発売時点と比較すれば、規模、影響力は決して大きなものとはいえないかもしれない。昨年のWindows XPの発売イベントが、予想よりも盛り上がらなかったことから、「発売カウントダウンのようなイベントは、すでに必要ないのではないか」という声が販売店側からあがっていることも事実だ。
しかし、Mac OS X v10.2の発売で販売店が予想以上に盛り上がったのを見ると、コアユーザーに向けたイベントは効果があることを、改めて痛感した。Windows 95のような、社会的にパソコン市場の盛り上がりを告知するためのイベントを作り上げることは難しいかもしれないが、確実に製品を購入するユーザー向けのイベントであれば、店側にプラスとなる。現在、パソコン市場は伸び悩んでいる。販売店も思うように売り上げを伸ばすことができない。そうした時期には、確実に顧客を店舗に呼び込むイベントの効果は無視できない。
そんな視点で考えると、Windows XPの発売時も、正規製品の発売の夜以上に、OEM版発売の夜が盛り上がったことを思い出す。もちろん、東京・秋葉原のような特殊な地域だけの盛り上がりで、対応する店舗の数も少なかったのだが、「十分、収益になった」と店舗側が話すだけの集客はあったし、訪れた顧客が楽しみながらイベントに参加していることがよく伝わってきた。パソコン市場の拡大にともない、メーカーもマスコミも、マニアやパワーユーザーより初心者ユーザーの動向ばかりを追いかけていたきらいがある。
その反省の意味を込めて、新規ユーザーを期待できないこの時期には、マニアユーザーをフォローする製品作り、店頭イベントを充実させていくというのも、ビジネス的には意味があることのように思う。ここ数年、台頭著しいECサイトの影響で、「パワーユーザーがインターネットで商品を購入し、店舗に足を向けなくなった」と販売店では悲鳴をあげていた。こうしたしばらく店には訪れなかった顧客を呼び込むためには、イベントも十分に意味がある。
各店舗ごとに特色を出したイベントを用意すれば、競合店との差別化も図りやすい。Windowsの深夜発売とは全く違う狙いで、イベントを仕掛けていくべきではないか。
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