店頭流通

ソニーマーケティング 年末は「バイオ+AV機器」

2002/09/16 18:45

週刊BCN 2002年09月16日vol.957掲載

 ソニーマーケティングは、年末商戦に向け、パソコンとAV機器を融合した販売を本格化する。「VAIO(バイオ)」シリーズの新製品に搭載するアプリケーションを強化し、バイオをホームサーバー機として位置づけ、テレビやデジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、MDウォークマンをつなぐ使い方を提案し、パソコンで映像や画像、音楽を取り込み、テレビで再生したり、DVDやアルバム、MDの作成などが誰でも簡単にできることを訴求していく。パソコン市場が依然として厳しい状況のなか、同社ではパソコンとAV機器の融合という新しい市場を創造し、需要の掘り起こしを図る。

画像・音声の楽しみ方を提案

 ソニーマーケティングが年末商戦に向けて打ち出す販売戦略は、「バイオとAV機器をつなぐ」がコンセプトだ。

 ITマーケティング部VAIOMKグループ・中牟田寿嗣統括課長は、「これまでもバイオとAV機器をつなぐことに取り組んできたが、今年の年末商戦は、バイオの全機種でAV機器との融合性を押し出していく」と話す。

 具体的には、「バイオ」シリーズに搭載するアプリケーションを強化し、バイオを中心に、テレビの「ベガ」、デジタルビデオカメラの「ハンディカム」、デジタルカメラの「サイバーショット」、MDウォークマンなどのAV機器が簡単につながることを訴求する。

 ITマーケティング部・福島秀樹統括部長は、「デジカメやDVDの画像編集や音楽編集は、主にパソコン上級者がやっている。大半のパソコン購入者は、編集する時間やスキルがない。そこで、年末商戦では、バイオを購入すれば初心者でも画像や音楽の編集が簡単に行えることを分かりやすく伝えていく」という。

 バイオとベガとの融合は、ネットワークメディアレシーバ「ルームリンク」で実現する。「ルームリンク」とテレビをAVケーブルでつなぎ、「ルームリンク」とバイオ間をLANケーブルで接続。ビデオや音楽、写真など、バイオのAVコンテンツが「ルームリンク」を通じてテレビで再生・表示できる。付属の専用リモコンを使えば、パソコンに不慣れな消費者でもAV機器感覚で操作することが可能だ。価格はオープン。2万5000円をめどに発売する計画だ。

 ハンディカムとの融合については、バイオのDVD-RW搭載モデルに、DVD作成ソフト「Click to DVD(クリック・ツー・DVD)」機能を備えた。同機能により、1回のクリックでデジタルビデオカメラ内の映像を自動的にDVDに書き出せる。

 サイバーショットとの融合では、画像の加工・管理ソフト「Picture Gear Studio(ピクチャーギア・スタジオ)」を新アプリケーションとしてバイオに搭載する。静止画の取り込みから、カード作成やアルバム作成などのさまざまな出力まで統合的に管理する。

 MDウォークマンとの融合は、「SonicStage(ソニックステージ)」を強化し、さらに高速でMDに取り込めるようにする。

 福島統括部長は、「パソコンのスペック自体をアピールした販売だけでは、消費者の購入意欲は高まらない」という。

 中牟田統括課長も、「パソコンは、家電製品に比べて日常生活で本当に必要な製品ではない。そのため、消費者が『パソコンは必要なもの』と認識するような提案が重要だ。『パソコンで何ができるか』を提案していかなければならない」としている。

 同社の営業組織は、これまで音響製品を扱うAV部門と、パソコンなどデジタル製品を扱うIT部門が分かれていたが、今年4月から両部門を一本化。IT機器とAV機器を融合した販売体制を整えた。

 福島統括部長は、「今回の販売戦略により、これまで画像編集や音楽編集などを行っていなかったバイオ購入者の約80%にバイオとAV機器の融合による楽しさが浸透し、なおかつ需要が拡大していくことにつなげていく」と意気込む。
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