店頭流通
激動する家電パソコン流通 合従連衡を組む大型家電量販店
2002/09/09 18:45
週刊BCN 2002年09月09日vol.956掲載
■売上高1兆円超のエディオン
今年3月、デオデオとエイデンが共同持株会社のエディオンを設立。さらにベスト電器、上新電機、ミドリ電化の3社が業務提携の形で加わり、5社連合を組むことになった。この5社連合は総売上高で1兆円を超える大規模グループを形成する。
家電パソコン流通業界では、これまで経営不振の中小量販店やパパママ店規模の販売店が大手量販店の系列化に入るケースはあったが、5社連合は業界初の対等な立場での業務提携となる。
5社連合による提携の成果は今年後半から具現化するとみられるが、提携の第一弾はオリジナル商品の企画・開発。低価格の統一ブランド商品をメーカーに大量ロット発注することで仕入価格を下げ、安売り競争を乗り切ろうという狙い。
しかし、課題はある。というのも商品の企画・開発はできても、それぞれ各社がもつ経営資源を共有し、経営の効率化まで進むことができるか、その可能性は低いからだ。
デオデオ、上新電機、エイデンなどはいずれも似たような企業・経営体質を持っており、経営効率の低い販売店同士が連携を組んでも改善できるかは疑問が残るところだろう。
この業界にとって、化粧品、日雑流通と比べ遅れていると指摘されているのが物流システム。現在まで、量販店における共同物流というシステムは構築されていない。
5社連合を組むことで物流システムを共同化するロジスティクス戦略を構築し、コスト削減に取り組まなければ、業務提携の意味はない。
図は、家電IT流通業界のグループ相関を表した。5社連合は前述の通りだが、MAXグループは公開会社のデンコードー、マツモト電器、八千代無線電機などを中心に8社で勢力を形成。ただ、店頭販売などの営業・販促手法についての共同研究が主な内容で、まだ業務提携までに至っていない
■中小家電店のFC化進む
5社連合、MAXグループ以外は単独系列化路線の展開で、子会社・関連会社化するとともに中小家電店をフランチャイズチェーン(FC)化していくパターンだ。ラオックスやケーズデンキが相当する。
ラオックスの場合、古くは東京・秋葉原電気街の松波無線から始まり、神田無線電機、ナカウラ、そして仙台の庄子デンキと続く。ラオックスのケースは、業績不振に陥った量販店の救済に近い。
一方、ケーズデンキは地場で実績のある30億円規模の地域量販店をFC化しているのが特徴で、グループ化によって相乗効果をあげている。今年8月、ヒダカ電器商会(大阪府松原市)、東海ケーズ(愛知県豊田市)と業務提携し、FC傘下に加えた。これによって同社のFC店は13社となった。
ケーズデンキの業務提携のもう1つは、1999年10月から続くパソコン専門店、ピーシーデポコーポレーションとの協力関係だ。ケーズデンキは家電量販店のなかでも、情報家電の売上比率が32%と低く、パソコンの販売力は弱い。そのため、パソコン販売に関してピーシーデポコーポレーションのもつPC DEPOT店舗運営ノウハウの供与を受け、「PC DEPOT」の店名でパソコン専門店の運営を行っている。
■伸び悩むFC店も
5社連合に参加しているデオデオ、ベスト電器、上新電機、エイデンなども、これまで独自にパパママストア規模の中小家電店を組織化したFCを展開をしてきたが、FC店の売り上げが伸び悩み、FC店への商品供給売上高は減少の一途をたどっている。
FC店への卸売上高の全社売上高に占める割合は、ベスト電器が97年度で40%あったが、01年度では14%に低下しており、同様にデオデオも27%から13%に、上新電機も22%から6%に下がるなど、いずれもFC展開は崩れつつあるのが実態だ。 もっぱらFC店に対する商品供給のみで、経営ノウハウの提供まで至っていないのが要因だ。
■さらにグループ・系列化進む?
パソコン販売で独自路線を歩むソフマップは、今年7月、営業不振に陥っていたヤマギワのソフト事業部門の営業権を取得、同社のソフト販売を引き継いだ。
だが、ソフマップとしても、これまでパソコンというカテゴリーでは優位性を保ってきたが、ヨドバシカメラやビックピーカンなどのカメラ量販店の攻勢や家電量販店のパソコン販売増により、売上高が伸び悩み、厳しい状況にあるのは否めない。
今後、事業展開にあたって、これまでの独自路線から何らかの形でのコラボレーションを組む必要が出てこよう。
家電パソコン流通業界の今後を占うと、ヤマダ電機、ヨドバシカメラといった大型量販店の出店攻勢が激しく、体力消耗戦の様相を帯びている。今後もさらにこうした傾向が続くとみられ、独自路線の展開が難しくなってこよう。
こうした厳しい環境のなかで、今後、クループ化や系列化が進むと予想される。 例えば、売上高で1000-2000億円規模の量販店ではグループ化を推進、1000億円未満の量販店では大型量販店の傘下に入るなどの選択を迫られよう。
安売り販売が続くなかで、各販売店が生き残りを図っていくには、いかに体力を温存しながら、限られた経営資源を共有化していくかがキーポイントだ。
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