店頭流通
東芝 「ソニーを追いこせ!」 マーケティング力強化に本腰
2002/07/15 18:45
週刊BCN 2002年07月15日vol.949掲載
マーケティング力向上に向けたテコ入れ策は、直系販社の東芝ライフエレクトロニクス(東芝LE)との連携強化だ。東芝LEはテレビなど家電も取り扱っており、パソコンには弱いとされている。しかしこの点では、宿敵のソニー直系販社のソニーマーケティングでもまったく同じ状況だ。山下事業部長は、「ソニーマーケティングは家電とパソコンを融合した売り方がうまい。夢をもたせて浮動購買層をうまく捉えている。この点、東芝は固定客の継続購買率は70%と高いものの、マーケティング力が発揮できておらず、浮動層をうまく捉えていない」と厳しい。「私自身、東芝欧州拠点でパソコンから家電まですべてを担当していた。その経験を家電事業部との連携に活かす」と、総合的なマーケティング力の発揮に意欲を示す。
昨年11月、技術者3000人を集めて開設した研究施設「コアテクノロジーセンター」(東京・青梅)の効果も、じわじわと製品に表れつつある。「ホームサーバーの『トランスキューブ』から、高機能ノート、超薄型ノート、小型ノート、PDA(携帯情報端末)まで、モバイル系での品揃えはライバル企業を上回る。ただし、上級者向けのイメージが強い東芝ブランドとソニーブランドでは、訴求する対象にズレがある。この違いをどう実売に結びつけていくのかがマーケティング上の大きな課題」と指摘する。東芝では、東芝LEとは別に、東芝情報機器にもパソコンを卸している。出荷比率は、東芝LE100に対して東芝情報機器は40。家庭向けでは、東芝LEを主軸として、商品企画から販売戦略、マーケティングまで「再度、前線部隊とのコミュニケーションを強化し、実行性を高める」考え。
東芝の市場別のパソコン出荷台数(ノートのみ)は、米国の企業向け市場が最も多い28%を占める。次が欧州の企業向け市場で19%、3位は国内家庭向けの13%、僅差で国内企業向けが12%となっている。なお、国内の今年度出荷台数計画は、前年度比11%増の100万台。上期(4-9月)の見通しは、計画通り45万台を見込む。下期は55万台を出荷する計画。「上期は、夏商戦後半がうまく伸びれば50万台に手が届くと見込んでいたが、今の調子では難しい。米国および欧州、日本の法人市場も楽観できない。ここは国内家庭向けでシェアを伸ばすことで底支えしたい」と話す。
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